テキスト | ナノ
※帝光3年/黒子が退部した後の話捏造



フローリングではなく、固いアスファルトの上で二度ボールを跳ねさせた。少しいつもと違う音が二回。気まずい沈黙の間を埋めるかのように、黒子はまた2回ボールをアスファルトに落とした。
後ろには、直ぐそこには青峰が立っている。呼び出したのは自分だ、だけど、いざというときに限って何か言いたいと思っていたことも全て黒子は忘れてしまった。

「二人で合うのは久しぶりだな」
「そうですね、1ヶ月ぶりでしょうか」

口を開いたのは青峰で、やっと黒子はボールをつくのを止め、青峰の方にふり返った。試合以外でしっかりと顔を合わせたのは一ヶ月くらい無かった。それは黒子が青峰を避けていたからで、会う時間や機会がなかったわけではない。
「お前、探しても中々見つかんねぇんだけど」青峰はそう言った。それは黒子が避けていることもあるだろうけれども、いつもは何処にいても何となく分かっていたのに、今では何も分からない。直ぐ横にいたはずだった。

「それは、避けてますから簡単に見つかったら困ります」
「っ何で避けんだよ」
「・・・僕は、多分、青峰くんの事が好きでした」

黒子がそう言うと、青峰は思ったよりも何も反応を起こさなかった。恐らく抱けれども、なんとなく青峰も同じ気持ちだろうとうすうす黒子も思っていた。そして、お互いにそれに気付いていたはずだとも。「なんで、過去形なんだよ」と青峰は少し顔をしかめながら聞いてきた。好きだった、確かに、この思いは恋愛感情だと思っていた、憧れと友愛とよく分からない名前が分からない感情がごちゃごちゃとなって好きに似た感情を、黒子は青峰に抱いていた。「今は、青峰君のことが分からないんですよ、何を考えているのか何がしたいのか。そしたら、急に君が遠くに行ってしまったみたいで、好きなのかよく分からなくなりました」よく自分でも口が動くものだと、黒子は驚いた。

「どっか行ったのはお前だろ」
「そうかも知れません、逃げたのは僕です」
「だったら、なぁ」

2,3歩青峰が歩いてくる。彼の一歩歩は大きく、あっという間に距離は縮まってしまう。目の前にいるのは青峰のはずなのに、違う人のように思えて畏怖を感じる。見上げることも億劫で、黒子は青峰の影を見つめていた。自分のそれよりも大きく、彼には自分の存在が無くとも、しっかりと影が地面に存在している。
青峰は下を向いたままの黒子の腕を掴んだ。そこでやっと黒子が顔を上げて、目が見えた。「俺も好きだ。けどお前は過去形で言うし、俺はどうすればいい」真っ直ぐに見つめてくる瞳に向かってそう尋ねれば、放してください、と言われて青峰は手を離した。

「また、君が僕を見つけることが出来たら、その時は」

何もいつもと変わらない、真っ直ぐで真剣な表情で黒子は青峰にそう言った。次の瞬間に、青峰の視界から彼は消えていた。





いちばんうつくしい言葉で呪いの錠をする
title by ごめんねママ






5万打記念フリー配布小説
お持ち帰りは自由ですが【怪獣】とサイト名の表記をお願いします
つまり言いたかったのは「好きなら全力で僕を捜して捕まえて、僕の所に戻ってきてください」っていう黒子のちいさな我が儘と束縛
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -