テキスト | ナノ
※ノベライズ2巻ネタバレ有り/文化祭前



派手な装飾があちらこちらに付いている綺麗な洋服を彼に押し当てていくけれども、どれもこれも彼には小さすぎる。肩幅も丈も全てがドレスよりも大きく、無理矢理着ることすらも不可能だった。最後の一枚を宛がったがそれもやはり合わない。ポイッと黄瀬は床に持っていた服を投げ捨てた、床には既に鮮やかな服達が何枚も広がっていて鮮やか。
ふう、っと溜息を吐く黄瀬とは反対に問題の紫原は普段変わらず目の前で繰り広げられたことなど気にもしないでチョコレート囓っている。それを見て黄瀬はまた溜息を吐く。

「別に、俺文化祭裏方でもいーって言ってるのに」
「女の子が紫原くんも、って五月蠅いんッスよぉ・・・無理な物は無理って言ってるんスけどね」

そう言って黄瀬は屈み込んで、床に落とした衣服を一カ所にまとめ始めた。赤、青、黄、白、黒、様々な洋服が入り乱れる。よくもこんなに集められた物だが、それでもやっぱり自分に合うサイズの服は見つからないだろう。
ちょっと待ってるッスよ、そう黄瀬は言ってから審査済みの洋服を抱えて部屋を出て行った。だらだらチョコレートを囓っていると、黄瀬が帰ってくる。手元には鮮やかなドレスがもたれていた。

「サイズに合うのコレしか無かったスけど、コレとか・・・どうッスかね・・・」
「別にいーよ」

口の中で溶けていたチョコレートを飲み込んで黄瀬に向かって紫原はそう言った。別に興味はないからどちらでも良いし、早く解放されたい、それから黄瀬ちんを振り回すのも可哀想だ。紫原が言ったことを聞いて、黄瀬は驚いたようで「本当に良いんスか」と念を押すように聞いてきたから、首を縦に振って肯定を示した。
「じゃあ、一回合わせするんで着てくださいッス」とドレスを黄瀬は手渡してきたが、ドレスなんて女物だし着方が分からない。そう伝えると黄瀬は楽しそうに紫原の着替えを手伝った。手慣れた様子でドレスを着せていく辺りは、やはりモデルだからかな、と思いながら紫原は黄瀬にドレスを着せられていく。

「違和感無いなんて・・・」
「んー、俺だからー」

着終わって見ると、案外似合っていて黄瀬は驚いた。しかし、服のサイズはぴったりだったのと、お披露目を女子にすると女子の反応も上々なので紫原は本番でもこれになることになった。
ゆっくりと一回転してみて「似合うー?」と紫原が戯けて聞いてくるので「似合てるッスよ」と返事をすると、紫原は首を降ろしてドレスを見ると、んー、と不満そうな声を漏らした。どうかしたのかと黄瀬が尋ねるれば、「黄瀬ちんの方が可愛いーからさ、黄瀬ちんも着てみてよ」と言って、紫原は黄瀬の手を引いて抱きしめる。

「可愛い黄瀬ちんが、見たいなー」

耳元で囁けば、「今度・・・なら」と小さく呟く黄瀬の声が聞こえた。











きみの悪党を埋める
タイトル ごめんねママ
ゆずゆさんリクエストで紫黄
紫黄って実は好きです。書くの楽しかった。
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