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※情事後注意[R16]




柔らかいベッドから体を起こせば体中が悲鳴を上げた、それにつられて黄瀬も「いたっ」と口から言葉が漏れた。くしゃくしゃになって皺だらけのシーツに、床に落ちた汚いコンドームとティッシュ。ついでにくたびれた自分の体。
どこから片づけをすれば良いのかといつものように考えながら、黄瀬は髪の毛をかきあげた。考えていてもいつも同じ行動をどうせする、まずは自分の体を片づける。ベッドから置きようと体を動かせば、何かに黄瀬の足が当たった。

「ったく、しまらない顔ッスね」

この状態で近くにいるのは青峰しか考えられなく、何かがいる方向に視線を動かせば青峰の緩みきった寝顔が目に入った。口を少し開けて、いつもはつり上がっている目も閉じきっていて鋭い視線を覆い隠している。黄瀬はベッドから置きようとするのを止めて青峰の顔を凝視した。昨晩の熱っぽい表情など何も伺えないだらしない表情を見て、黄瀬はひっそりと笑う。そして、ゆっくりと鼻に手を伸ばして青峰の鼻を摘んだ。当たり前だが、呼吸が不可能になり息苦しさから青峰が目を覚した。

「あー、はよ」
「おはよッス」
「・・・黄瀬、お前無理矢理起こしただろ」
「ちょっと鼻を摘んだだけッスよ。無理矢理だなんて言い掛かりッス、無理矢理は青峰っちじゃないッスか」
「うるせぇ、頭に響くだろ」

暴君という言葉が当てはまる態度。黄瀬の言うことに耳を貸すことなく、青峰は黄瀬に背を向けて二度寝をしようとする。元々こういう性格だって知っていて付き合っているから今更どうこういうつもりも無く、黄瀬はベッドから出て行こうと改めて足をベッドから投げ出した。ギシッとスプリングが軋む音がする。
時計を見れば仕事の始まる時間にぎりぎり間に合うか間に合わないかくらいの微妙な時間で、ゆっくりとしている暇はない。「おい、」と青峰に声を掛けられても会話をする余裕なんて黄瀬は持っていない。少し痛む足腰に力を入れて立ち上がったと思ったら、腕を引かれてベッドに逆戻りをする。

「何ッスか?俺時間無いんで」
「マジかよ。早く起こされたし朝に一発させて貰おうと思ったのによ」
「昨日さんざんシたじゃないッスか。ってか、手離してくださいッス」

本当に時間が無くて懇願しても、逆に青峰が手を握る強さは強くなった。どんだけ横暴なんだ、と心の中で悪態を吐いて「帰ってきたら好きなだけ相手しますから」と渋々提案すれば青峰はにんまりと満足げに笑って「よし、行ってこい」と言って手を離した。掴まれていた手首は赤くはなっているが痣みたいな痕は付いていないから、一応悪ふざけの部類であって無理矢理しようとかは考えていないところが、彼の優しさなのかもしれない。
シャワーを浴びて服を着替えて、一応マネージャーに連絡を入れてから玄関に黄瀬は向かった。「いってくるッス」と声を掛ければ、部屋の奥から「おー」と気怠げな返事が聞こえた。
ベッドに再び潜り込んで青峰は目を閉じた。こんな朝は何度目なのか分からなかったが、何度も繰り返しているように思える。黄瀬が先に起きて、青峰を起こして、仕事だと言って慌ただしく出て行く。また明日ですらもそういう風に繰り返すはずだ。








そうして二人にやって来るのが同じ朝でありますように
titel by 花畑心中


83さんリクエスト/青くさい二人の話・アホみたいなエロ
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