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帝光時代


真っ白な課題を手に持って、黄瀬のクラスに青峰は向かう。課題なんかアホらしく思えて真面目にやるのは面倒だから、写すためにだ。黄瀬はバカだが意外と真面目だから課題くらいはちゃんとやっているだろうし、もししていなくても紫原も同じクラスだから借りれるので色々と都合が良い。
廊下を少し歩けば黄瀬のクラスにすぐに辿り着く。女子があいかわらずクラスの周りにたむろっているのが鬱陶しいが、お目当ての人物はテメェ等なんぞ興味ないからな、と心の中で彼女らを軽く見下して青峰はクラスの扉に歩み寄る。嫌でも気付いてしまう青峰の存在感に彼女達は自然と道を造っていた。

「おい、黄瀬」

扉を開ければ奥の方の席に2人が見えた。黄瀬達も気付いたのか「青峰っち、どうしたんッスか」「あ、峰ちん、おはよー」と黄瀬は嬉々とした表情で紫原はいつも通りどこかめんどくさそうな声色で手を振りながら青峰に声を掛けた。
青峰は大股で2人に近寄っていくと、2人もなれたもので青峰の手の中にあるプリントを見てから苦笑して「また課題ッスか」と言いながらも黄瀬は机からプリントを取り出した。

「悪ぃな」
「そう思うなら自分でやれば良いのに。あ、ちなみに答え合ってるか知らないッスよ」
「そうだよ。黄瀬ちんいっつも俺に愚痴ってくるんだから」

紫原がちらりと黄瀬のことを見ながらそう言ったら、黄瀬はあわてて「そんなこと言ってないッスよ」と否定してくるけれど当の紫原は「え〜、そうだっけ」と既に興味を無くしたのか、黄瀬の机に置いてあった菓子を手にとって袋を開け始めた。
受け取ったプリントを丸めて棒を作ると青峰は黄瀬の額にそれを押しつけて、にんまりと笑った。黄瀬は座っていて、青峰は立っているから見下ろされるかたちになりより一層迫力がある。

「黄瀬の癖に俺にたてつくのかよ、へぇ」
「だから、誤解ッス、誤解」

2人が揉めていることなど興味なさそうに紫原は黄瀬にさっき食べ始めたお菓子と同じものを袋をあけた形で手渡した。黄瀬は青峰に言い寄られて慌てながらも「これ、食べて良いッスか?」と聞けば紫原は首を縦に振って肯定した。
受け取った御菓子のパッケージにはキャラメルたらこ味と見たこともない味が表記されていて、恐る恐る黄瀬は口に運ぶ。一口食べると黄瀬は眉を寄せて口を手で押さえた。
やっとのことで一口を飲み込み「まずい」と黄瀬が言えば「うん、まずいからあげた」と紫原はさも当たり前のように飄々とそう言う。酷いッスよ、と黄瀬は紫原に御菓子を押し返したが要らない、と紫原は言って前を向いてしまう。
どこか疎外感を感じた訳ではないだろうが青峰は苛ついた。同じクラスの仲が良いチームメイトで当たり前の光景のはずが、何故かそう思わせる。青峰は改めてプリントの棒で黄瀬の頭を叩くと振り向いた黄瀬の耳元に顔を近づけて「何かむかついたから後で犯す」とだけ囁いた。





微熱で踊る
タイトル ごめんねママ
新さんリクエスト(黄瀬に紫原が絡んでいる所に青峰さん登場。紫原に弄られている黄瀬を可愛いな、と思いつつも軽く嫉妬)
リクエストありがとうございました
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