テキスト | ナノ
!)黒子と黄瀬が女の子




かりかりと白いシャーペンが白い紙に無数にも思える数や文字を書いていく。そのシャーペンを動かしているのは黒子で、たんたんと且つ丁寧に1つ1つを説明しながら綺麗な文字で書いていく。彼女の書く字は整っているけれど薄くて、彼女を体現しているものだと思いながら、黄瀬は黒子の話を聞いていた。
優しくて勉強も普通並みに出来る黒子に勉強を教えてくれるように頼んだのは黄瀬だったが、黒子には申し訳ないと思っているが既に集中力は切れかけていた。彼女が書く文字よりも、プリントを見るために近づいたためにいつも以上に近くで見る黒子の顔を凝視する。

「ねぇねぇ、黒子っち。ほっぺた触っても良いッスか?」
「今は勉強中ですよ」
「もう疲れたし、ちょっと休憩しようッスよ」

そう言いながら、黒子がイエスと言うのを待たずに黄瀬は黒子の頬に人指し指を軽く突き立てた。スッと何も抵抗も無く肌に人指し指は沈む。キメが細かな肌に、色も透き通るみたいな白色。黒子はあきれ顔になりながらも黄瀬の好き勝てを許していた。感触を暫く楽しんだ後に黄瀬は指を離した、何も頬に付いていないことが分かるように指には何一つ付いていない。
「折角肌が綺麗なんッスから黒子っちもメイクすれば良いのに」と黄瀬が言えば「必要有りませんよ。してもどうせ部活の汗で落ちますから」と黒子は言ってから、置いていたシャープペンシルに手を伸ばした。必要が無いと彼女自身が言っていても、黄瀬は納得しなかった。鞄からポーチを取り出すと、シャーペンを取ろうとした黒子の手を引いて身体ごと自分に顔を向かせた。

「ちょっとだけメイクさせてください」
「勉強を教えろと言ったのは貴方ですよ、黄瀬さん」
「分かってるって、メイクさせてくれたらまた真面目に勉強するから」

手を合わせて頭を軽く下げる黄瀬に軽く溜息を吐いて「良いですよ、けどその後ちゃんと勉強して下さいね」と黒子を言う。
それからは早かった、黄瀬は慣れた手つきで黒子の顔にメイクを施していく。チーク、マスカラ、グロス、その他色々を軽く顔に乗せていく。黒子の肌はとてもメイクがしやすい。
終わりっと、と黄瀬が声を弾ませて言えば、恐る恐る黒子が目を開いた。手渡された鏡を見て「私じゃないみたいですね」と呟いてから口を変な風に曲げた。鏡に映るのは私だけど私では無いみたいで不気味だと思った。
ポーチの中にコスメを片づけながら黄瀬は「いつもの黒子っちも可愛いと思うッスけど、いつもより可愛いと思うッスよ。だれか好きな人に会いに行ったらどうッスか?多分、イチコロッス」と上機嫌に口を動かす。

「黄瀬さん」

と、唐突に名前を呼ばれて黄瀬はふり返る。そこにはメイクをしたからと言うわけではなくいつもと雰囲気が違う黒子がいた。「好きです」と黒子は静かに言った。

「え」
「黄瀬さんが言ったんじゃないですが、誰だって今の私なら好きになるって。だから、黄瀬さんも私のことを好きになって下さい」

黒子はそう言うと、思考回路が固まっている黄瀬の手を引いた。キスしても良いですか?と至近距離で言えば黄瀬は未だに混乱していて「キスしたら、折角の口紅が取れるッスよ」とだけ返せば、また貴女が塗ってくれるでしょう、と黒子は言って瞼の上にキスをした。




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