どっちが好きなの? | ナノ


※ニールとライルを愛してる方には不向きです。特にニール。結構病んでます。(当サイト比)
実際の管理人の双子のイメージですが、あくまで個人的です。
刹那はニールもライルも選んでいるようでどちらも選んでいないので、それが赦せない方も不向きです。
それでもいい方だけお願いします。


刹那は目を覚まして自分の身体に巻きついた大人の腕を剥がし、身体の痛みに気付かないふりをして側にあったパジャマに着替えた。
着替えた刹那はベッドから降りてカーテンから外を覗いた。
いい天気だ。
朝日は昇り、出掛けるには絶好の日だろう。
ただそんな日は厄日だと知っている。
刹那はもう一度ベッドに入った。
目を閉じると隣の部屋で焼いたり切ったりする音が聞こえる。
今日の朝食担当はニールだったか…と刹那は毛布を自分の方に引っ張った。
すると、先程まで巻きついていた腕が刹那の身体ごと引き寄せる。


「うう、さみい…」
「……寝惚けた振りはやめろ」
「あ、分かった?」


刹那の身体を引き寄せた男はばれたことで軽く言ったが、刹那の眉頭は寄ったままだ。
ライルは抱きしめられた状態を堪能したかったが、離して上半身だけ起き上がる。


「おはよ…刹那」
「おは…んんっ、」


律儀に挨拶を返そうとした刹那の唇を、ライルは攫う。
すぐに離してきっと睨むと、ライルは対照的に満足そうな笑みを浮かべた。


「いいだろ?兄さんが朝飯作っている間ぐらいさ」
「昨日散々それ以上やってか」
「ははは…まあ、それも御愛嬌ってことで」


昨日はニールと話していたらライルは虫の居所が悪かったのか、いきなり部屋に連れて行かれた。
傲慢なのは知っていたが、よりにもよってニールに声を聞かせようとし、見せつけるようにしたから困ったものだ。

刹那は昨日のことを思い出して顔を顰めた。
ライルは刹那の表情には気づかず、先程刹那が覗いたように窓から外を見た。


「いい天気だな…なあ、今日どっか行かないか?」
「誰かのせいで身体が痛いからいやだ」
「んー、じゃあ…」
「駄目だよライル。刹那は今日俺と出掛けるんだから」


いつの間にライルの部屋に入ってきたのか、黒のエプロンを着た(以前のアルバイトで拝借したらしい)ニールが壁に凭れて立っていた。
ライルはニールの姿を見てむっとする。
仲が悪いわけではないが、この2人は双子の兄弟なのに噛み合っていない部分が多々あった。今もそうだったりする。
ライルの視線は気にせず、ニールは刹那の側まで来て頬に唇を落とした。


「おはよう、刹那。ライルも」
「……」
「おはよう…ニール、俺は、今日は…」
「昨日約束しただろ?」


有無を言わせないニールの言葉に、ああ拗ねているのかと刹那は思った。
それを言ってしまったら最後思考の歪んだ男が何をしてくるか分からないため、刹那は言葉を呑み込む。
まあ勝手をしてくれたライルにはいい仕返しか、と思い刹那はこくりと頷いた。
だから、天気のいい…しかも休日は厄日なのだ。
今日は少し違う気もしたが、とにかく厄日の場合が多い。


「俺聞いてないけど」
「デートだから当たり前だろ」
「デート?……ふーん…あっそ。そんなことなら動けないようにすればよかった」


ライルは余程気に入らなかったのか、再び毛布に包まって不貞寝をする。
刹那は大きく溜息を吐いた。
ニールも少し呆れた表情を浮かべたが、とりあえずライルの部屋に来た本来の目的を果たす。


「お前ら、朝飯できたからさっさと食べろよ」










朝食を食べ終え、すっかり拗ねてしまったライルを放って(刹那が反省するといいって言っていたのをいいことに)刹那とニールは出掛けた。
行く場所は決まっていないが、ニールは刹那になるべく負担がかからないように愛車で出掛けることにした。
助手席に刹那を乗せて、デートではないが買い物に行くことに決めた。
刹那もいやとは言わなかった。双子に大切に扱われているのは分かるが、料理をしようとすれば止められ、洗濯や掃除をしようとすればやんわりと拒否され…やることがなくなっていた。
なので、生活に携わる手伝いが出来るのがほんの少し嬉しかったようだ。
刹那の様子が分かったのかニールは微笑んだが、ふと座りずらそうにしているのに気づいた。
途端に面白くなくなる。昨日ライルに話を中断され、挙句の果てにはライルが抱いている時の刹那の声を聞かされた。
自分が抱く時とは違った刹那の態度から、ニールはライルに嫉妬していた。
それはお互い様だということにも気付かず。


「昨日は…随分無理したんだな」
「…俺はされた方だ。したのはあいつだ」


それでも赦したのは何故だろう。そんなことを問いたくなったが、止めておいた。
刹那は自分とライルの2人を選んでくれている。裏を返せばどちらも選んでいないが、どちらかを選び自分が脱落するのはいやだった。
それならばこの曖昧な関係を続けた方がメリットがある。嫉妬に狂いそうになるが、それさえ我慢すれば刹那は全部ではないが半分は手に入る。
考え事をしながらニールが運転しているのに気付いた刹那は、自分のせいだと思いながら何と言えばいいのか分からず、思ったことをそのまま口にした。


「お前たちは、随分違うな」
「そう言うのはお前だけだよ」


近場のスーパーに到着し、刹那がシートベルトを外したところでニールの顔が近くまできて唇を掠めた。
誰が見ているか分からない駐車場でキスされるとは思わず、刹那は固まる。
その姿を見たニールは、ふっと表情を崩した。


「ニール、どうし…」
「せっかく来たけど、スーパーは後回しにしようか。たまには違う場所でやりたくなった」
「…!まさか、ここで…!」


(さすがにそこまで考えてないけど)

ニールはそう言おうとしたが、血の気の引いている刹那の顔を見るのは新鮮だったので止めておいた。
カーセックスというのも、なかなか面白そうだと歪んだ笑顔を浮かべる。


「おい、さすがに…」
「大丈夫、優しくするからな」


(逃がすつもりはない)

刹那はそう言ったニールの笑顔の裏を見てしまった。
同じ双子でも違うが、拗ねると厄介なところは同じだ。
刹那は諦めて「せめて裏路地に停めろ」と言った。



傲慢で身勝手な男と、考えすぎる傾向のある病んだ男…一体どちらがましなのか。
どちらも捨てることなど出来ない。
そんな考えをしているから、どちらかを選べる筈もなかった。



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ジャンピング土下座もの。
ニルライ刹です…5000hitアンケートに入れてくださった方へ。
これ酷いな…(遠い目)刹那は双子に拾われたのか…とりあえず一緒に暮らしてます。(駄目設定)
タイトルは某アイドルの「ねー/え?」から(笑)。この曲好きです。ただセクシーとキュートではなく、傲慢と病んだ…ですがorz


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