05:四人居てこそのチームワーク | ナノ




05:四人居てこそのチームワーク


ティエリアは先程の刹那の態度に怒り心頭だった。
刹那たちが自分を腫れもの扱いしているのは分かっていた。
旅に慣れていないので迷惑をかけているのも、分かっていた。
しかし、最近は慣れてきたので今まで迷惑をかけた分今度は返そうと思ったのだ。
今まで生きてきた中でそんな風に相手のことを考えたことはなかった。


「…僕らしくないな」


ティエリアは表情を和らげる。そんな自分の変化がいやではなかった。
その時、森の中で殺気を感じた。
ティエリアは武器の鞭を取り出して、辺りを見回す。
日は沈み暗いため視界が悪い。
ティエリアは舌打ちしたい気分になった。

(モンスターの殺気…一匹ではない。やれるか?)

魔力もあまり残っていない。
ティエリアは後ろに下がり、モンスターの気配を探った。
するとモンスターはティエリアの背後から近づいていた。

(しまった!)

気付いた時にはモンスターの爪がこちらに下りてきており、ティエリアは思わず目を瞑る。


「ティエリア!」


アレルヤがモンスターに向かって突進をする。
そのままアレルヤは素手でモンスターを殴り倒した。


「大丈夫!?」
「あ、ああ…」


ティエリアの返事にほっと息を吐いたところ、アレルヤの後ろから別のモンスターが襲いかかる。


「アレルヤ!」


ティエリアが悲痛な想いでアレルヤの名前を叫んだ。
その時に風が吹き、勇者の剣で刹那がモンスターを突き刺す。
モンスターの断末魔の叫びが響き、倒れた。


「刹那!」
「まだいる、気を抜くな!」


刹那の隣で、ライルが呪文を唱えた。
その呪文はティエリアの体力を回復させるものであった。
ティエリアは先程よりも動けるようになり、残りの魔力を確かめてから氷の呪文を唱えてモンスターを倒した。






「…すまない」


モンスターを一掃した後にテントに戻った刹那たちは、一瞬誰が謝罪をしているのかと思った。
最初に我に返ったライルは、肩を竦めて刹那を見る。
アレルヤも優しい笑顔で刹那の方を見た。
遠くでハロとその傍らにいるニールも微笑ましいといった表情で刹那を見ていた。


「僕のせいで、皆を危険な目に遭わせた」
「いや、俺も悪かった」
「え…?」


刹那からの謝罪にティエリアが吃驚する。
アレルヤも驚いていたが、ライルとニールは表情を和らげていた。


「独り善がりな意見を押し付けて、お前のためだと思っていたんだ」
「…刹那…それは、」
「すまない。今度からはお前にも手伝ってもらう。それに…」


刹那は仲間の3人を見渡す。


「定期的に話し合いを設けようと思う」
「…ああ、そうだな」


ティエリアが言い、アレルヤとライルが頷いた。
刹那は嬉しいと感じた。今までは自分だけの意見を通してきたが、肯定してもらうと喜びを感じる。
これがパーティーなのかもしれない、と刹那は感じていた。


「それじゃあ僕は食事を作るよ」
「僕もやる」
「俺は水でも汲んでこようか、さっき川を見つけたんだ」
「俺も行こう」


まとめるのは大変だが、いい仲間を持ったと初めて刹那は思った。
それがライルと水汲みに行って帰ってきた後に崩されるのだが。


「…この凄まじい料理は何だ?」
「僕の作った料理に文句があるのか!?」
「すげえ黒…闇鍋の域だぞ。お前料理の才能はないな。それに比べて刹那は料理うまいよなー、いい嫁になるぜ。もちろん俺のな」
「誰が誰の嫁だ。それに、ティエリアと比べられても困るだけだ」
「貴様らー!万死に値する!」
「ハレルヤ…僕また放置プレイだね…ぞくぞくするよ…」



『………こいつら、大丈夫かな』


4人がまとまる道は本当に険しいとニールは思った。


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