思い馳せる | ナノ


※こっぱずかしいです。フリオがおそらく童帝ではないです(笑)


ティーダが眠れていないと気付いたのは、イミテーションとの戦闘後だった。
クラウドが抜けて更にセシルが抜けたあと、文字通り2人になった俺たちは、クリスタルを求めながらカオスの連中やイミテーションと戦闘を繰り返していた。
その時にティーダが怪我をした。不注意で、脇腹を掠っていた。
イミテーションを倒し、呼びかけて止血してから初めて気付いた。
ティーダの目の下の隈が酷いこと、失血ではなく寝不足で崩れるように眠ってしまったこと。
フリオニールはティーダの身体を引き摺り、イミテーションたちに気付かれない場所に移動した。
そこでポーションを垂らし、ティーダの身体を回復させる。
幸い傷も深くないので、大事には至らないだろう。

(…何で黙っていたんだ…)

そう思ったところで、今までの自分を振り返ってみた。
俺はクリスタルが手に入らなくて焦っていた。だが、ティーダはどうだったのだろう。
親父さんに会ってからどこかおかしかった気がする。クリスタルを手に入れることよりも、ジェクトの方に気が逸れていて…
そんなティーダを有無を言わせずについてこさせたのは自分だった。

(もっと周りを見なければならなかった…そうすれば、ティーダが怪我をすることもなかったのかもしれない…)

フリオニールは座り込み、ティーダが目覚めるまで暫く留まることにした。






「…ん、…」


少し経ってティーダが目を覚ます。
身体にはフリオニールのマントがかけられていた。
フリオニールはティーダから見れば後ろを向いて座っており、表情はよく分からない。
ティーダは起き上がろうとして、微かに脇腹に痛みが走り、呻いた。


「っつ……」


(そっか…オレやられて、フリオニールが…)


「起きたか?」
「うッス」


ティーダの声でフリオニールは振り返った。
安心したような表情だったので、フリオニールが心配してくれたのだとティーダは思った。


「迷惑をかけたッスね…治療もフリオニールがしてくれたんだろ?」
「まあな。もう少し寝ているといい」


フリオニールはティーダの方に身体を向けた。
そのままティーダの髪を撫でて、目元を指の腹で撫でる。
ティーダはドキッとした。
自分の寝不足に気付いているのか、それとも違う意味でなのかティーダには良く分からなかった。考える前に再び眠気が襲ってくる。


「……眠れないのに、気付いてたんだ」
「いや…お前が怪我をして初めて気付いた。そう言えば身体の動きも鈍いし…とな。すまない」
「何で、フリオニールが謝るんだよ?」
「ティーダの様子も気付かず、早くクリスタルを、って焦っていたからな」


クリスタルを求めるのは当然のことなのに、何故謝る必要があるのかティーダには分からなかった。
考えごとをしているうちに、フリオニールの手が優しく頬を撫でる。
そう言えば親父に殴られたことはあっても、撫でられたことはあったっけ…とティーダはどこか遠くに思いを馳せた。
瞼が下りてくる。何も考えられなくなる。


「オレのほうこそ……ごめん…のばら…」
「…おい」
「起き、たら…文句は全部…聞く…から…」


ティーダはそう言いながら、目を閉じて眠ってしまった。
フリオニールはふっと笑みを溢し、手を退ける。


「お休み、ティーダ」


文句は聞いても、自分が何に悩んで眠れなかったのかは話してくれないだろうことを予想が出来て、フリオニールは少し寂しくなった。


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