偽りの中の真実2 | ナノ
移動した場所が悪かった。
過去のカオス神殿に来たバッツは、ライトとガーランドが戦っている真っ最中なのを見て、失敗したなと思った。
ガーランドの振り回す槍から飛んで逃れ、ライトはバッツを睨む。
案の定、邪魔をされたと感じたガーランドの怒りの矛先がこちらに向いた。
「貴様、邪魔しに来たのか!」
「いーや?偶然ぐーぜん。お前らに逢ったところで、面倒なだけだし」
「バッツ…!」
ガーランドを避けたあと、こちらにライトの技が繰り出される。
バッツは軽々と避けた。
「ライト、あんたの相手はそいつだろ。おれは見学人ってところだ」
「きさま…!!」
「さっさとどこかに行け」
「はいはい」
気のないガーランドの言葉に、バッツは苦笑した。
相変わらず戦いのことしか頭にない。
ライトに死ぬなよと思いながら、バッツは再び移動することに決めた。
「待て、バッツ!」
「貴様の相手はこの儂だ」
「くっ!」
剣と槍の擦れる音に、バッツは後ろ髪を引かれる。
もう幾度となく仲間と戦ってきた。慣れたと思っていたのに、全くそんなことはないらしい。
踵を返したところで、これまたよく見たことのある男がこちらに武器を構えて立っていた。
いつからいたのか分からない。
「…お前なら、正々堂々来ると思ってたんだけどな」
「だから、一人で来たさ」
バッツと対峙する男、フリオニールは剣をこちらに向けた。
ブラッドソードを構える相手に、不足はないということだ。
バッツは喉の奥でくっと笑い、フリオニールと同じ武器を出した。
「いいぜ?場所を変えようか。ガーラントたちがいるしな」
「…俺が、お前を連れて帰る」
(どう足掻いても…無理だけどな)
バッツは心の中で呟き、フリオニールが一番相手にしたくなかった熱血タイプだったことを思い出した。
バッツを振り払ったあと、ティナが来たのはクリスタルワールドだった。
こちらもクジャとコスモスに加担しているジェクトが戦っていたが、どうやら決着がついたらしい。
クジャが逃げるように去る。
そう言えば前にジタンと勝負をして怪我をしていたのを、ティナは思い出した。
コスモスに加担する者は敵だ。
クジャが負けたのならば、自分がやらなければならない。
ティナは魔力を溜めようとした。
その時、ジェクトがにっと笑ってティナの方を向いた。
「よう、嬢ちゃん。戦いもいいけど、ちっと話でもしねーか?」
「……話?」
ティナは魔力を溜めるのをやめ、男の話に耳を傾ける。
ジェクトは大きな剣を地面に置き、ティナを自分の方に呼んだ。
ティナは罠かと思い一瞬戸惑ったが、ジェクトが肩を回して座り込み寛いだ状態でいるので、少し離れて隣に座り込んだ。
「あー疲れたぜ。あの兄ちゃんしつこくってなあ…」
「でも、クジャが戦いたいのは違う。あなたではない」
「そうだなー。俺も違うんだよなー。戦いたい奴が仲間にいるから困ったもんだぜ」
ジェクトが戦いたいのは…と考えて、いつも側にいる彼の息子をティナは思い出した。
親子似て明るいと思っていた気がする。よく分からない。
彼らのことを考えて、次に思い出されたのはいつも隣にいた男のことだった。
男の笑顔…カオス側についてから見ている少し引き攣った笑顔を引き金に、ティナは頭がずきずきと痛んだ。
あの笑顔は違う気がする。
何故そう思うのか、自分では分からない。
「…いた、い…」
「ああ?おい、大丈夫か?」
「うう、私…わたし!」
頭を押さえながら、ティナは叫ぶ。
ジェクトは肩を揺さぶるが、ティナは悲鳴を上げてジェクトの腕を振り払おうと身体を振る。
魔力が自分の意志とは無関係に溜まり、ジェクトを攻撃対象とみなしていた。
(苦しい。痛い…なぜ!)
ティナは軽いパニックを覚える。
自分ではどうにも出来ない頭痛に、咄嗟に呼んだのはいつも側にいた彼の名前だった。
「バッツ…!バッツ!」
「!!………」
ジェクトは聞いた悲鳴に目を見開いたが、とにかく落ち着かせるには戦うしかない。
ジェクトは大きな剣を取り、臨戦態勢に入った。
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ブラッドソードないって本当ですか←
ジェクトはコスモス側ということで。