ハロウィンOO2009 | ナノ


フェルトは魔女のとんがり帽子を被り漆黒の衣装に身を包んでいる。
隣には自ら希望をしバンパイアの格好をしているアニューがミレイナにお菓子を貰っていた。
ミレイナが両親のところへと行くと、アニューはフェルトの方へと振り向いた。


「フェルトさん、トリートオアトリート?」
「え…?」


フェルトは大人のお姉さんとして密かに慕っているアニューにハロウィンの決まり文句をもじった言葉を言われて一瞬止まった。
トリートかトリート…甘いものが欲しいということなのだろうか。
フェルトは考えるにつれて混乱してきた。


「あ、あの…ミレイナにあげて、お菓子ないんです…!」
「大丈夫よ。私が欲しいのは貴女だから…」
「へ!?」


帽子を取られ、いつの間にか頬に添えられた冷たい手に背筋がぞくぞくとなる。
思わずぎゅっと目を瞑ってしまった。

(なに…?私が欲しい…?それはトリートなのかな…?)

薄く目を開くと意地悪く微笑むアニューと目が合う。


「か、からかったんですか!?」
「あら、本気よ?」
「え…?」
「でも、今日は貴女の困った顔、照れた顔が見れたからいいの」


綺麗に微笑むアニューにフェルトは困惑した。


「そんな顔しないで。貴女は笑った方が素敵なんだから」
「…は、はい…」


フェルトはぎこちなく笑みを浮かべた。
アニューは更に笑みを濃くし、フェルトの首筋を撫でる。
フェルトは再び彼女の手の冷たさに肩を震わせた。


「可愛い…"ここ"に来て、本当に良かったわ…」
「そこまでだ」


フランケンシュタインのメイクと格好をした刹那は無表情のまま休憩室のドア付近に立っていた。
フェルトは驚きアニューの肩を押して離れる。


「…何ですか、刹那さん。邪魔をしないで」
「休憩室でやるな。自室にでも行け」
「…仕方ないですね…」


アニューはフェルトに向き直ると含みを持った笑みを浮かべた。


「フェルトさん、あとで私の部屋に来てくれるかしら?」
「えっ、と……」
「もちろん無理にとは言わないわ。ゆっくり考えてからいらっしゃい」


アニューはフェルトの頬に唇を落として刹那と一緒に休憩室から出ていった。
残されたフェルトは何をされたか自覚をすると顔を真っ赤にした。





「もう少し遅く来てくれても良かったのに」
「ライルが着替えるあいだ暇だったんだ」
「タイミング悪いわね……因みに彼、包帯男やるって言ってくれたかしら?」
「俺が包帯男を演じたライルを脱がしたいって言ったら全力で拒否されたから、仕方なく死神の衣装を置いてきた」
「貴方の素直さは、時に欠点ね…」





刹那はアニューと別れ、ライルの部屋のドアを開いた。
着替え終えて不貞腐れた表情をしているライルがベッドにだらしなく座っている。


「…ったく、イベントに浮かれてる場合かってーの」
「そう言うな。束の間の休みだ」
「…お前に言われたら、しょうがないけどよ…はあ、」


ライルは渋々と言った態度で足を組み直した。
刹那はライルの傍まで足を進めて、律儀に死神のフードを被っている彼の頭からフードを外した。
両サイドから手を伸ばしライルの顔にあてると少しだけ表情を和らげた。


「…トリックアンドトリック?」
「…おいおい、悪戯だけの話じゃねーし、疑問でもないだろ」
「いやならやめる」


無表情を装っているがフランケンシュタインのメイクをした顔がしゅんと項垂れるのをライルは見て、盛大な溜息を吐いた。
ライルは片手を刹那の後頭部に回し、一気に距離を縮める。


「いやじゃねーよ。お望みどおりトリック2乗で」
「お前も欲張りだな…」


刹那は若干呆れながらも自分から口を近づけ、ゆっくりと目を閉じた。



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ねんがんの アニュフェルだぞ!
彼女らはどうやって呼び合ってたんでしょうね…一番気になるところです。
「magnet」的なアニュフェルを望んでます。需要なんて知らないよ!(笑)
信じてもらえないかもしれないですが、天使なアニューが好きなんですよ。何故こうなったし。
あと今回こそ刹ライかもしれないと思ったけれど、書いた本人が真面目にライ刹だと訴えているのでライ刹で。当サイトはライル→←←←刹那がほとんどだと思います(例外あり)


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