ティナ誕!2009(コスモスオールキャラ編) | ナノ


ティナはいつもより早く起きて目を擦り、解いた髪を手櫛で梳いた。
髪のボリュームが少し納まったところで近くにあった湖へと顔を洗いに出掛ける。
そこで、ティーダの荷物が地面に置いてあることに気付いた。


「…ティーダのもの…?」


だが、辺りを見回しても彼の姿は見えない。
イミテーションやカオス勢の気配、殺気等が感じられないことから危険ではないと判断したティナは、当初の目的である顔を洗うために湖に近付き両手で水を掬った。
その時。


「ぷはっ、ライトー!すっげー獲物見つけたぜー!!」
「てぃ、ティーダ?」
「お、ティナ。朝早いッスね!」


ティーダが湖から顔を出し、片手で持っている魚らしきものを地面に置いた。
人間の大人程の大きさの魚であり、今まで見たことのない大きさであった。
魚はまだ生きているため反り返って動いている。


「大きい魚ね」
「今日のごちそうッス!なんせ今日はティナのた…」
「走れ、光よ!」


ティーダとの会話の途中にライトの声が聞こえたかと思うと、ティーダめがけて眩しい閃光が走った。
ティーダは間一髪のところで避けたが、着地の際に石に足を取られて頭を地面に打ってしまった。
慌ててティナは駆け寄るが、ティーダがティナの方に右手を向けて親指を立てたのでほっと息を吐く。
その後ティーダは気絶したのだが、すぐにライトの方へと視線を移したティナは気付かなかった。


「ライト、危ないよ」
「すまない。君らの近くに何かいたものでな」


ティナが足元を見るとそこには黒い蠢くものがいた。
ライトの視力…というか視界はかなり広いようだ。


「ありがとう」
「礼には及ばない。さて、これも持って帰るか」


そう言ったライトの手にはこれまた大人の人間の身長程もある豚のような獲物があった。
ティナは目を瞬き、疑問に思ったことを問う。


「ライト…その、獣…は…?」
「これか?今日の食事だ。……邪魔をしてすまなかったな。君はゆっくりするといい」
「え…?」


ライトは先程ティーダが獲った魚を持ち、更に自分で捕まえてきたのか分からない豚のような獲物を脇で抱え、ティーダの襟を魚とは反対の手で掴んで引き摺っていく。
ティナはライトの逞しく頼りになる後ろ姿を見つめることしか出来なかった。







ティナが戻ると、セシルとジタンが彼らの眠っていたテントの前で笑いながら会話をしていた。
ティナの姿を見たジタンが彼女に手招きをして自分たちの方へと呼ぶ。


「ティナー、こっちこっち」
「どうしたの?」
「おいで」


セシルの優しい声にも呼ばれてティナは導かれるように2人のところに足を進める。
セシルはティナの肩に手をやると丁度腰掛けるのに良さそうな岩へ長い布を敷いてティナを座らせる。
そのままティナの纏められている髪を櫛で梳いた。


「セシル…?」
「綺麗な髪だから、今日は僕が結んでもいいかな?」
「う、うん!お願いするね!」
「それじゃ、セシル頼むな」


ジタンの言葉にセシルは笑顔で頷いた。
ジタンはそのままどこかに行ってしまった。代わりに来たのは、深紅のワンピースと銀のアクセサリーを持ったスコールと化粧道具その他を手にしているクラウドであった。
クラウドは無表情のまま化粧道具を小さな岩の上に乗せて、セシルに話し掛けた。


「セシル、髪を梳かす前にこちらを済ませる。あれもまだ出来ていないようだからな」
「そうだね」


セシルは翡翠の柔らかい髪から手を離した。
ティナはセシルの方へと顔を向ける。


「何か…あるの?」
「あると言えばあるかな?ね、スコール」


セシルがスコールに言葉を掛けると彼は無言で頷いた。
ティナがスコールの方へと向くと、そのまま無言で持っていた深紅のワンピースを手渡した。


「これは…?」
「……着替えてくるといい」
「え?」
「着替えたら、また俺たちのところに来てくれ」


スコールに続きクラウドに着替えるように言われたティナは何が何だかよく分からなかったが、とりあえず頷いた。
深紅のワンピースを両手で受け取り、眠っていたテントの中へと移動する。
裾にフリルがあるだけの何の変哲もないワンピースであるが、肌触りがよくサイズもぴったりである。
テントの中から外を覗くと思ったよりも近くにスコールがいて驚いた。
スコールはティナの足元を見ている。


「えっと…着替えた、よ?」
「ああ。……おい、靴はこのままでもいいと思うが」
「そうだね。じゃあティナ、こっちに」


スコールの言葉を受けたセシルが再びティナを呼ぶ。
ティナはひとつ頷いてセシルとクラウドのところへとスコールと一緒に歩いた。
布を敷いた岩にまた座り込み、今度はクラウドが化粧道具から下地等を取り出す。
セシルがティナの前髪を優しくあげてピンでとめる。


「…彼女に化粧をする必要があるとは思えないが、」
「せっかく借りたから、薄くしてみようよ。感じが変わると思うよ」
「…そうだな…ティナ、少しの間おとなしくしてくれ」


クラウドの言葉に頷き、目を閉じた。
クラウドは女装セットを使用したことがあるせいか慣れた手つきでティナの顔に化粧水をつけて下地を塗り、整えていく。
スコールとセシルは感心した顔をして、クラウドの機嫌を損ねた。


「…何だ」
「手慣れていると思った」
「慣れたくて慣れたわけではないがな」


手早く目、口と化粧を施し出来終わったところでクラウドは化粧道具を全てしまった。
ティナの良いところを見事に引き出しているが、あいにく彼女からはどうなっているか分からない。
セシルが再び髪を弄り始めると、クラウドは自分が眠っていたテントの中へと行ってしまった。


「今日は下で結んでもいいかな?その方が服とあってるかも」
「セシル、」
「ん?また何かあるのかって話かな?それはあとのお楽しみで」


セシルはティナの心を読んだかのような返事を返した。
二度訊いても内緒ということなのだから何か特別なことがあるのかもしれない。
ティナはセシルの言う通りにしようと力強く頷き、改めて髪を結ぶことをお願いした。
緩くウエーブがかかったところで、クラウドがテントの中からフリオニールを引っ張りだしてきた。


「出来たのかい?」
「クラウドに手伝ってもらって何とか……ほら」


フリオニールはセシルにのばらの花のついたリボンを手渡した。
ティナはそのリボンを見て、フリオニールに問う。


「このリボン…フリオニールが作ったの?」
「ああ、まあ…あまり上手く出来なかったけど」
「ううん、凄く綺麗よ。可愛い…」
「ティナに気に入ってもらえたなら、良かった」


疲れた顔をしていたフリオニールが笑顔を返してくれたことで、ティナも微笑む。
セシルは慣れた手つきでティナの髪を横でひとつに纏めて、フリオニールの作ったのばらのリボンで結んだ。
その後スコールにネックレスやブレスレットをつけてもらい、完成したらしい。


「はい、お疲れさま」
「みんな…ありがとう」


いつもとは違い、綺麗になった気がするとティナは思う。
どういたしましての代わりにクラウドに頭を軽く撫でられた。


「…ティーダたちは出来たのか…?」
「ジタンが見に行ってくれたけど…」
「…俺が様子を見に行く」


スコールは抑揚のない声で言うと、テントよりも遠くで調理していると思われるティーダやライトのところへと歩いていった。
フリオニールもそのあとをついていく。
30分ぐらい経ったところで、ジタンと手荷物を持ったオニオンナイトがティナたちのところへとやって来た。


「悪いな、レディ…お待たせ…」
「どうしたの?」
「ちょっと弁当が大変でな…よし、玉葱。あいつのところまでお前にまかしたからな」
「分かってるよ」


オニオンナイトは弁当と思われる手荷物を左手に持ち、右手をティナへと差し出した。
何のことだか分からなかったがジタンに手を取るように耳打ちされて、頷く。
ティナは彼の手に自分の左手を重ね、立ち上がる。
そのまま手を繋いだ。


「じゃあ、ティナ。行くよ」
「ええ……でも、どこへ?」
「それは、あとで訊いてあげてよ」


誰に?と問い掛けたかったが、オニオンナイトは前を向いてゆっくりと歩き始めたためティナはきっかけを失った。
皆の集まっているテントから離れて坂を下りたところに来ると、黄色の鳥…チョコボの世話をしているバッツの姿が見えた。
ブラッシングされているチョコボはとても気持ちよさそうで、それを見ているバッツもいつもより嬉しそうに見えた。


「…バッツ?」
「お、来たな」
「何でバッツは着替えてないのさ!」


憤慨するオニオンナイトにバッツは笑いながら応える。


「いやー、スコールから借りたやつがサイズ合わなくてさー、あいつ足も手も長くて腹立つよなー」
「…しょうがないな、もういいや。はい、これよろしく」
「美味そうな匂いがするな!」


バッツはオニオンナイトから弁当を受け取り嗅いだあと、チョコボの背に乗せる。


「それじゃ、行くとするか」
「え…?バッツ、どこか行くの?」
「おれだけじゃなくて、ティナも行くんだろ?」
「?」
「ん?……玉葱、話してないのか?」


バッツの言葉にティナはオニオンナイトの方へと向いた。
オニオンナイトは玉葱と呼んだバッツにいい顔はしなかったが、ティナのいる手前で怒ることはなかった。


「みんなで秘密にしておいたんだよ。だからバッツ、頼んだからね!」
「そういうことなら任しとけって。ということで、ティナはおれとチョコボデートな」


バッツの笑顔と共にとても重大なことを言われたティナは、目を瞬かせた。
オニオンナイトの方をもう一度見ると、やれやれと肩を竦める。


「どういう…?」
「今日はティナの誕生日だからだよ。皆でお祝いしようって決めたんだ」
「で、最後はおれな」


2人の言い分にティナはやっと皆の意図が掴めた。
と同時に誕生日に皆で祝って貰えたことが嬉しく、蕾が開花するような笑顔を見せた。


「ありがとう」


ティナの感謝の言葉に側にいたバッツやオニオンナイト、少し遠くから見守っていたコスモスの戦士たちが微笑んだ。



****
チョコボデート編はみなさんのご想像にお任せします。実はカオスの戦士たちが見守ってたらいいな…(笑)

因みに担当は、
1:肉、調理担当だが料理は壊滅的でジタンを困らせる。やっぱりオチ担当。
2:髪ゴムづくり。無駄に凝りすぎて何回も失敗した 手先はそれなりに器用だがなかなかの不器用さん(色んな意味で)だと思う。
3:バッツのところまで連れて行く担当←どんなだ ティナの誕生日のお祝いのことばを最初に言わせるのはたまちゃんと決めてました。
4:ヘアスタイル担当。実は残り物でした← 4の人はえのつく人等は置いといて髪長いから、セシルは出来ると思ったんだよ。因みに私設定で料理は殺人的。
5:デート担当。このサイト56押しですから!
7:メイク担当(笑)。公式女装からクラウドは出来ると思いました。というか、クラウド何でも出来過ぎて(脳内設定)、一昔前の少女漫画のヒーローみたいに…あわわ。
8:ファッション担当←無理矢理 でもワンピースはケフカと暗闇の雲と魔女さんが持ってきたもの。因みに化粧道具はケフカと魔女さんとクジャのもの(笑)皇帝は潔癖症なので貸してくれなかったのと、クジャの場合はジタンが直接頼んだので貸して貰えました(ツンデレブラコン)
9:監督。SS内では大した役回りじゃない気がしますが、もう本当大事(笑)。企画も彼。苦労も全部背負う。
10:魚、調理担当。海には潜れるけど料理はいまいちだと私がおいしい(笑)だからジタンが苦労(ry

いつも56の時はコンビとして13、210、47、89なので、たまには違ったものを試してみた。110がお気に入りです。






※おまけ(弁当組)


1「さて、全力で弁当を作ろう」
10「了解ッス!」
1「まずは捌くことからだな…ティーダ、用意は出来たか?」
10「任せろっ!(剣を構え)」
1「では…(同じく構え)」
9「ちょ、待て待て待て!!お前ら何やってんだ!!」
1「肉と魚を捌こうとしているんだが?」
10「そうッスよ!ジタン、時間ないから邪魔するならあっちの方をどうにかしてくるッス!」
9「あっち(24789たち)は順調だから!むしろお前らが順調じゃないから!まず包丁あるんだからそれ持て!!武器はしまっとけ!」


3「……(1910を見ながら)僕には無理だ……あ、スコールとフリオニール」
2「オニオンナイト、ライトたちは…?」
3「あそこ…手遅れになる前にジタンが来てくれたから何とかなってるけど…」
8「(遠くから見て)ジタンの采配ミスだな…調理担当は別にした方が良かった」
3「僕もそう思うよ…だから、2人とティナは一緒に調理担当にしないでね」


9「だ、か、ら!ライト、指切り過ぎだろ!もういいから!肉があんたの血だらけになるから変われ!手当てしてろよ!」
1「…痛い…な…」
10「そりゃ痛いよな…ライト、どうやって1人で旅を続けてきたんスか?」
1「カオスの奴らにおすそ分けしてもらった」
9「何で!?何でカオスの奴らと仲良くなってんの!?」
1「前に次元城で爆発事故を起こしエクスデスを丸焼きにしそうになったから…だな」
9「……」
10「ライト、おっちょこちょいだなあ!フリオニールにポーション貰ってくるからちょっと待ってろよ!」
9「そういう問題か…?おい、ティーダ!帰ってきたら野菜ちぎれよ!」
1「それなら私が…」
9「却下!血だらけの野菜をティナに食べさせる気かよ…ライトは出来たものを弁当に詰めてもらうから」
1「…分かった」


10「ティナ喜んでくれるかなー♪(鼻歌歌いながら)」


3「……」
2「…今度、皇帝以外におすそ分けしに行こう」
3「……皇帝は料理出来なさそうだもんね」
2「ああ。奴はセシル並みだからな」
8「…?セシルも駄目なのか?」
2「お前たちは知らんか…ティーダもあれだしクラウドが抜けたあと、本当に大変だったんだ(げっそり)」



長くなるので肉と魚詰めるところまでいかなかった…もちろんオチなし。それより皆、早くライトの手当てをしてあげてくれ(笑)
ところで今気付いた。肉と魚ってなんて重い…


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