グラハム誕生日2009 | ナノ


※マイスター全員(二期)の女装があります。それしかありません。


「ということで、私の誕生日(らしい)。カタギリ、私を祝ってくれ」
「30過ぎたのに、がめついね…相変わらず。あと、言ってもいいかな?」
「何でも言うがいい。私と君の仲ではないか」
「じゃあ遠慮なく…君、オカマバーでも始めたのかい?」


ビリーが視線を捉えていた場所に、何故かメイド姿のソレスタルビーイングのガンダムマイスターたちがいた。
泣いている者もいれば、のりのりで鏡でポーズをとっている者もいる。
グラハムの性癖を知っていたビリーだったが、まさか女装させる趣味まであるとは思わず、目に毒なメイドさんたちから目を逸らした。
グラハムはそんなビリーの心中を知る筈もなく、目を輝かせる。


「おお、よく気付いてくれた!私の今日専用のメイドたちだ」
「そう。眼鏡からクールからオトメンから……色々贅沢だね」
「ははは、カタギリには貸さないよ」
「いらないよ」


ははは、とビリーは力なく、グラハムは嬉しそうに笑いあった。


「悪いね、グラハム。今から君のプレゼントを買いに行ってくるから、これで失礼するよ」
「ああ。楽しみにしている」
「じゃあね」


今日見たものをすぐに忘れるためにも、ビリーはスメラギのところに行こうと決心した。





「…しくしく」
『泣くな、アレルヤ。お前あいつらの中で一番女々しいだろ』
「酷いよハレルヤ!ほんと、今すぐ君と代わりたいぐらいなのに!」
『そしたら、まずあいつをぶっ殺してやる』
「……」
『お前の姿を見てるだけでも吐き気がするんだよ。しゃんとしろ』
「無茶言わないでよ…マリーに見られたら、僕死ねるよ…」


アレルヤがしくしくと壁に向かって独り言を話している(と周りからは見える)時、一番近くのティエリアは鏡を見ながら化粧をしていた。


「…何事にも完璧にするべきだ。刹那!君も来い!」
「……何故お前はのりのりなんだ」
「別にのってなどいない。君のせいで僕たちはこんなはしたない格好をさせられているのに、文句を言わないだけありがたいと思え」


そう言いながら口紅を塗るティエリアに、刹那はうんざりした表情を浮かべた。
ティエリアは何だかんだ言って似合っている(と言ったら殺されるだろうが)からいい。
他のメンバーのことも考えてほしいものだ、と刹那は珍しく仲間のことを気遣っていた。
それも全てが自分のせいだから、なのだが。


「…刹那」
「ロックオン」
「お前、あとで覚えてろよ」


ライルはヤンデレ代表のレ●のように笑いながら、グラハムに呼ばれていった。
いつもうだうだ文句を言うライルにしては簡潔すぎて、ティエリアまでもが冷汗をかいてしまったようだ。
…何故、マイスターがメイド姿かを説明していなかった。


「グラハムとの賭けに負けた」
「知っている。誰に話しているんだ、君は」


ティエリアがまるで可哀想な目で刹那を見たが、刹那自身は気にしていなかった。
刹那の解説では分かりづらいが、地上に下りたときに刹那がグラハムと偶然出会い、何故か酒の席が一緒になりそのままポーカーすることになった。
刹那は賭けごとなどしたことがなかったので、グラハムのイカサマを見抜けず大敗した。
大敗した刹那に不気味な笑顔を浮かべて、グラハムは「ガンダムのパイロット全員で、私専属のメイドに一日だけなってほしい」と言い切ったのだった。
それをマイスターたちに告げた時の憤りと冷めた表情は暫く忘れられない。
刹那がグラハムとの賭けを思い出して自己嫌悪に陥っている時、グラハムと呼ばれたライルはおかしな会話を繰り返していた。


「眠り姫のパイロット君、ネコミミとクマミミどちらがいいと思う?」
「ウサミミ派です、ご主人様」
「そうか。君にはそうだろうな。このネコミミは二つあるから少年と紫の髪の美少女(?)に渡すとして、クマミミはそこのガチムチメイドに渡そう」
「……」


いらねーよ、とライルが心の中で言うが、逆らえない。
刹那が大敗したあとグラハム以外にもポーカーをし、借金をしてグラハムに肩替りしてもらったためである。
ライルは苛々しながらグラハムに手渡された(何故に自製なのか)ウサミミを装着した。
メイド服を着てから、既にプライドも何もかもどうでもよくなっている。
とりあえずあとで刹那をしめることしかライルは考えていなかった。


「ああ、眠り姫のパイロット君。ケーキがあるからそれを食べさせてくれ」
「自分で食べろ」
「ちょっと!ロックオン、素に戻ってるってば!」
「俺は甘やかさない主義なんだよ。兄さんと違ってな。何ならガチムチメイドのアレルヤがあーんwwしてやれよ」
「そ、そんな…」


既に演技はなくなり、ライルはアレルヤに八つ当たりをし始めていた。
さすがに憐れに思ったのか憂さ晴らしなのか、ティエリアがアレルヤを救いに行く。
と見せかけて、彼はライルと一緒にアレルヤを苛めていた。
正直見ていられない。刹那は視界に入れないようにしていた。


「……グラハム」
「ご主人様、だ。少年」
「………ご主人様、」


刹那は心底厭そうに眉を寄せ、グラハムのことを呼んだ。
のりのりで主人らしく「何だ」と聞く男を殴りたかったが、必死に抑えて聞きたかったことを問う。


「お前、誕生日なのか?」
「ああ…私の話を聞いてなかったのか?」
「「「「ああ(ええ)」」」」


4人一致で肯定の返事を返す。
グラハムの眉がぴくりと動いた。怒っているのかもしれない。
怒ろうが4人にとってはどうでも良かった。だが、メイド以外に無茶な要望を叩きつけられても困る。
瞬時にティエリアは冷蔵庫に入っているグラハムの誕生日ケーキを取ってきて、アレルヤは小皿とフォークを取り、ライルは包丁でケーキを切り分けた。
仲間の絶妙なチームプレイに驚き見ていると、最後に切り分けられたケーキの乗った皿をティエリアが刹那に渡す。
これをすぐグラハムに食べさせて来い、とティエリアの目が言っていた。

(…厄介どころを任されたということか…)

それも全て自分のせいなので何も言えないが、心の中で愚痴っておく。
刹那はグラハムの膝に乗り(グラハムが期待した眼差しでこちらを見て膝を叩いていたからだ)、一口サイズに切ったケーキをフォークで刺し、彼の口に差し出した。


「誕生日おめでとう、グラハム」


****
あまり変わってないですが、再うpしました。
マイスター☆メイドのスカート丈は短いです。グラハムの趣味。メイド衣装も彼の手作りです。
■注意点■
眠り姫=デュナメス。グラハムにはライルとニールの違いは分からないと思うしライルも眠り姫がよく分からないのでスルーということで。
ティエリアはやると決めたことに手を抜くことはしません。
何だかんだ言って、刹那以外のマイスターは刹那のために女装してくれたんだよ(←ここ重要)

何故メイドかと言うと、DQ9にメイド衣装があったからだよ…(どうでもいい)
ニコ動で昔見た動画にがちむちメイドがあった気がするので、拝借させていただきました。


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