悪い男 | ナノ


※R18

悪い男


ソレスタルビーイングでの待遇は、カタロンに比べていい方だと思った。
カタロンよりも人材不足なのか部屋は余っていて1人部屋を貰えるし(俺スパイなんだけどな)、可愛い顔して恐ろしい教官がマンツーマンでMSの操縦の仕方から闘いに関すること全て教えてくれた。男だけど(女装の際に立派な一物を見てしまった)。女だったらタイプだったんだが。
納得いかない事は、兄さんの影がちらついて落ち着かないところだろう。まあそれもすぐに慣れると思う。
だから、なかなかいいところだと思った。
それが最初の、ソレスタルビーイングの印象である。

そして、ソレスタルビーイングのマイスターである刹那の印象。
はっきり言って、いきなり本題から入るし(知識がないから意味がさっぱり分からなかった)自己完結させてるしとんでもない奴だと思った。
ちょっとお兄さんがコミュニケーションとやらを教えてやろうかと思ったぐらいだ。面倒だからやらなかったが。
そんな第1印象のあまり良くなかった奴を、どうやら昨夜喰っちまったらしい。
正直な話、全く覚えていない。
目が覚めて寝返りをうてば、何も着ていない刹那が隣で眠っていて驚いた。もちろん俺も何も着ていなかった。
デスクの上に空になった酒瓶があるので、多分酔った勢いだろう。

(やばいよな…20歳超えているって言ってたから、大丈夫か?女じゃないし…)

自分の腰は全く痛くないので、おそらくつっこんだのは俺だ。
困ったな…なんて言い訳しようか、と柄にもなく素っ裸で悩んでいると、刹那が寝返りをうって目を覚ましたらしい。
赤い瞳がこちらを見つめる。
いつも厳しい視線だが、後ろめたい想いがあるせいか今日は射殺されそうだ。


「…おはよう」


とりあえず、無難に挨拶を返しておいた。
刹那はぼそぼそと何か言って起き上がる。
しかし、腰が痛んだのか手をあててゆっくりとしか起き上がれなかった。

(やっぱり思った通りだったか)

ここで言い訳をすれば、最低な男だろう。
それこそティエリア辺りに絞め殺されるかもしれない。あいつ何か刹那を信頼しすぎだし。
ライルは溜め息を吐くと、ぐちゃぐちゃになった毛布を隠そうともしない刹那の下半身に掛けた。


「…ライル?」
「まあ、その何だ。責任はとるからな」


覚えていないのが難点だが、腰が痛くて起きるのが難しい程してしまったわけだ。
あと崩れそうな身体が妙に色っぽかったから、今度は素面の時に抱きたい。
本音が出そうになるのを必死で押さえて刹那の肩に手を掛けると、俺の手に刹那の手が重なった。

(あれ、許してくれるのか?)


「…よく分からないが、よろしく頼む」
「ああ」


こうして、俺達は関係を持つようになったようだ。
俺が刹那を騙したようにも思えるが、結果オーライである。





だが、あれからなかなか抱かせては貰えなかった。時間が合わなかったというのが正しい。
責任をとるって豪語したから女に手を出すのもやめたのに(主にソレスタルビーイングの女の子にだが)、何だか釈然としない。
2りきりになる時間もないので、しょうがないか…と諦めていた。
しかし、溜まるものは溜まるのでそろそろ発散させたかった。刹那の顔を思い浮かべて抜いてもいいが、あれの時のいい顔を覚えていないので一度見てからにしようと思っていた。


「ったく…つれねーよな、相棒」
「ロックオンキゲンワルイ?ワルイ?」
「良くはねーな」


機嫌の悪さを直すためにも早速刹那の部屋に行くか、とライルはスリープモードにしたハロを置いて部屋を出ようとする。
するとライルの部屋の前に刹那がいた。


「…刹那?ちょうど良かったぜ、部屋に行こうと…」
「……一度手を出したら飽きたか?」
「は?」


一体こいつは何を言っているのだろう。
よく分からなかったのでもう一度訊ねてみようとしたら、腕を取られてベッドに押し倒された。

(あれ、もしかして俺ピンチなのか?掘られる?)

そのまま俺の身体の上に馬乗りになった刹那に、さすがに慌てて声を掛ける。


「え、お前俺を抱きたいの?」
「違う。その気にさせるだけだ」


不敵に笑った刹那に不覚にも見とれてしまった俺は、刹那が何かしでかす前に上半身を起こして後頭部から引き寄せて唇に噛みついた。
刹那は一瞬目を瞠ったが、ちょんちょんと唇を舌でつつくと舌で応える。
そのまま刹那の舌を絡み取る。


「っふ、あ…」
「いつだってその気だよ。限界だったしな」


上着を脱ぎ棄て、刹那の服も強引に脱がせる。
思春期のガキのように、余裕なんてなかった。
キスしただけで、ポーカーフェイスに隠されている刹那の、本来の一部分が見えてしまったのだから。

(この顔を歪ませて、啼かせたい)

細かい傷の残った身体に欲情し、鎖骨あたりに唇を寄せる。
少しきつく吸えば、暫くは消えないだろう。俺のものだという証が身体に残った。


「いっ、らい…」
「…想像以上だ」


刹那の背中に指を這わせながらちゅっちゅっとキスマークを残していく。
震える身体を抱き締めて、行為を進めていく。
喉に噛みつくようにキスをすれば、俺の後頭部に回った刹那の手が髪を引っ張った。


「いでっ、引っ張んなよ」
「…早くしろ」


刹那はそう言って俺の唇に自分の舌を割り込ませた。
俺のイメージの刹那が、いい意味で崩される。
こんな積極的な刹那なら、正直大歓迎だ。
くちゅくちゅと唾液を混ぜ合いながら、刹那をシーツの上に倒して下を脱がせる。
濡れそぼっているそれに手を掛けて、俺は多分意地の悪い笑みを浮かべた。


「っは……いいね」
「馬鹿っ…や、」
「もっと聞かせろよ」


使えるものが軟膏しかなかったのでそれを手に馴染ませて後ろを慣らしながらふっと笑えば、刹那は俺の頭を引き寄せて唇を重ねる。

(キス好きだな、こいつ)

俺も気持ちいいからいいんだけど。
ぐちぐちと刹那のなかを探る。それに反応した場所を徹底的に攻めた。
その衝撃に刹那は唇を外して唾液を呑み込む事も出来ずに喘いだ。


「っひ、ああ…!」
「もういれてもいいか?」
「あ、…あぁ…」


こくこくと頷く刹那に、ライルは笑みを濃くして指を抜く。そして刹那の両足を広げて後孔にあてがい、挿入する。
途中で気付いた。ゴムつけるの忘れた。やっべー。

(刹那、後で掻き出すから悪いな、今はさせてくれ)

心の中で謝罪をしながら、ライルは刹那のなかに進める。


「っは、ああっ、」
「きちーな、大丈夫か?」


奥まで進めて少し意識の飛んでいる刹那の頬を、ぺちぺちと叩く。
虚ろな瞳がこちらを向き、俺の背中に腕が回る。


「…へ、いきだ…」
「そっか?結構がっついたし」
「俺も…早く、欲しかった…から…」


萎んでいく声に、不覚にも下半身にきた。
刹那が落ち着くまで待とうとしたが、煽られたのでそのまま動き出す。


「んあっ、」
「一緒にいこうぜ?」


柄にもない事を言って、刹那の顎につたる唾液を舌で舐め取り口付けた。
ぎりぎりまで引いて再び刹那のなかを抉る。


「んんっ、んー!」
「っふ、せつな…」
「っはぁ、ライ、ル…!」


互いの名前を呼び合いながら、絶頂に上りつめる。
荒い息を繰り返し、刹那が頬を緩めたので俺もつられて微笑んだ。
このまま「好きだよ」とか言うべきかなと思っていた。


が、


「これで、お前は俺のだ」
「…はい?」


今しがたセックスが終わったとは思えない(しかも下になった奴の発言とは思えない)言葉を、刹那は呟く。
俺には全く理解できなかった。

(どういう意味だ?)

刹那に訝しげな視線を送れば、今まで見た事もない欲の含んだ悪魔のような微笑で応える。


「あの時はやっていない。酔った勢いで、互いに抜きあってしかいなかったんだ」
「…へえ」
「だが、ライルが欲しかったから騙した。軽蔑したか?」


繋がったまま起き上がって、刹那はライルの身体を抱き締める。

(騙した…ね。絆されてるのか全く感じねーよな)

だが、刹那がこんなに殊勝なわけないと確信していた。先程の微笑を見たからである。
抱き締められた身体を離して顔を見れば、案の定後悔や反省なんてしていない、勝ち誇った表情をしていた。

(面白い、今までにはなかったタイプだ)



「あんた、悪い男だな」
「…そんな男に捕まって、お前は運がないな」


刹那に顎を取られて唇を重ねられる。
ライルは喉でくっと笑った。


「いや?最高だ…」


そのまま刹那を押し倒して、もう一度喰らう事にした。


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あの、いろんな方面に謝りたいです。刹那の事もですが、ティエリアを神聖視している方に土下座したいです。
私の大好きなBL本「悪―WARU―」(はしだ由香里)(だったと思う。貸しているから曖昧(笑))がコンセプトです。全然話は違うんですけど、一番の悪は受けの男の子だったという話。この漫画本当に面白いです。おススメです!


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