ブルースターの囁き2 | ナノ




ライルがブリーフィングルームに入ると、スメラギが不機嫌にこちらを見ていた。
女性を怒らせると厄介なので軽く謝罪をして、フェルトの隣にいる刹那をふと見る。
相変わらずライルの方を意図的に避けていた。


「ロックオンも来たところだし…話を進めるわね。あなたたち4人に休暇を出すことにしたの。期間は3日よ。端末は持っていくこと」


4人…刹那とフェルトの方を見た後で、後から来たライルとミレイナの方をスメラギは一瞥した。
若い中に自分が入っているのが気になるが、それよりも先程の疑問を口にした。


「一気にいいのか?」


ライルが思っていたことを訊くと、「エージェントの指示だから」と返された。
なるほど、と思うようにし、ライルは続けてもらうように促す。


「一応行き先は教えといてくれる?刹那とフェルトはロックオンの…いえ、貴方のお兄さんの墓参りに行くらしいけど、貴方も行くかしら?」


スメラギの言葉にライルは目を瞠る。
刹那とフェルトを一瞥したあと、ライルは決めていた信念を貫き通すことに決めた。


「いや、俺は前に行ったからいい」
「そうなの…?」


こちらを窺うスメラギに、ライルは首を縦に振る。
各方向から驚きの視線が集まるが、ライルは全て無視をした。


「何なら俺は待機でもいいぜ?行きたいところなんてないしな…あ、」
「どうしたの?」


スメラギが問うと、ライルは呼びに来てくれ隣にいたミレイナに視線を合わせた。


「そうだ。ミレイナ、君についていこうか」
「え…?」
「本当ですか!?嬉しいです!」


ミレイナは手を合わせて喜ぶ。
両親に花を贈りたいと言っていたし刹那とフェルトが墓参りということで、おそらく一人行動する予定だったのだろう。
親馬鹿なイアンが赦す筈もない。
ライルはそれを見越し、更に兄を知る人と過ごすのは気が引けたので、最善の提案だと思った。
言い換えれば彼女を利用することなので彼女に対して少し罪悪感は芽生えたが、とことん付き合うことで赦してもらおうと思った。
しかし、ミレイナは喜んでいるがイアンが仏頂面でライルを見る。
目つきが頑固親父だ。考えていることが手に取るように分かる。
俺と娘の2人きりというところが気に入らないのだろう。


「ロックオン、ミレイナに手を出すなよ」
「いくら何でも14の子だぜ?ロリの趣味はねーよ」
「それならいいが…」
「あなた、心配しすぎですよ」


イアンの妻のリンダが夫を宥める。
ミレイナははしゃいでいるようだし、大部分は納得しただろう。
スメラギとフェルトの視線を除いては、だが。


「じゃあ、決まったわね。2日後に離島に着くから、その後は自由行動で。でも時間厳守だから」
「了解」
「ストラトスさん、一緒に回る場所考えるです!レクルームにいるです!」
「そうだな、部屋戻ってからすぐ行くよ」


先程から思っていたが、ミレイナの行動は妹に似ているかもしれない。
妹…エイミーが大きくなっていたらこんな感じだっただろうか。
家族のことをもう正確には思い出せないが、何だか懐かしい感情を覚えた。
その想いはすぐに頭から追い出す。
過去を振り返るのはやめたのだ。家族のことも、兄さんのことも、アニューのことも。
前を見据える。それが俺の道だ。

(薄情で悪いな。俺は未来をつくるために、今を生きるだけで精いっぱいなんだ)

刹那とフェルト以外出ていったのを見て、ライルはミレイナの後を追おうとした。
その時に背後から声を掛けられる。


「ロックオン」
「…なんだ?」


声を掛けたのはフェルトだった。
刹那もこちらを見ている。
なんとなくだが、次の言葉は予想出来た。


「本当に…行かなくていいの…?」
「俺は…もう二度と行かないって決めてるんだ」


思ったよりも突き放すような言い方になった。
取り繕った方がいいかと思ったが、言い訳に聞こえてしまうのは自分自身が赦せなかった。
吃驚したフェルトと何を考えているのか分からない刹那を置いて、ライルはブリーフィングルームから出た。

刹那を避けてしまうような行動になってしまったと、後々反省をした。







(ロックオンは行かないのか…)

スメラギたちと話している時はほっとした。
しかし、頑なに行かないと言っている気がして、彼に何があったのか…と不思議に思った。

(…気になるが、避けているから無理か…)

刹那は溜息を吐いて部屋に戻ろうと足を動かした。
フェルトは何か探るような視線を刹那に向けていた。


****
以下戯言。
・レクルームなんて絶対ないと思います。
・ソレスタルビーイングの休暇は、きっとエージェントの管理する無人島で過ごすことだと思います。

今回はそれ無視で(笑)


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