壊れる6 | ナノ




刹那の様子から、媚薬を盛られたことは分かった。
身体の熱を鎮めるために冷水を浴びていたのだろう。
赤く腫れていることから、自分で抜いたことも分かる。
そして、今俺が出て行けば刹那は冷水を浴びて暫くここから出てこない。
このまま放っておけば、風邪をこじらせて肺炎になる。熱も高かった。
それだけは避けなければいけない。
しかし、この場にいたとして俺に何が出来る?
半開きの口から苦しい呼吸が漏れて、ライルは眉を顰めた。

本当は1つだけ考えがあった。
俺としても少し抵抗があり、刹那にとっては屈辱的な方法が1つ。
刹那を捕らえた男たちがやった…あるいはやろうとしたことを、そのまま返せばいい。
そうすれば、擦り過ぎて皮が剥けて酷いことにもならない。
男との経験はないがアナルセックスの経験はあるので、傷つけはしないと思う。
そう、外面的には。
だが、精神的には?
刹那が強いことは百も承知だ。しかし、こういうタイプほど案外脆かったりする。
例えば、イノベイターという事実を隠していた時のように。

(違う。傷つけるのが怖いんじゃない。やったことによって俺自身が傷つくのが怖いんだ)

また刹那との関係が崩れる。無理矢理抱いたとなれば、今度は修復不可能かもしれない。


「げほっ、…は…は…」


苦しそうに咳込む刹那に、ライルは先程まで恐れていた感情を全て捨てた。
身体が温まったようなのでシャワーのコックを捻り、お湯を止める。
ライルは服が濡れることを厭わず刹那を後ろから抱き締めて、耳元に唇を寄せる。
薬によって敏感になっている身体には、酷く残酷な行為だった。


「…ロック、オン…!なに…ひっ、」


刹那の身体に手を這わすと、怯えたような悲鳴を上げる。
ライルは罪悪感を感じたが、止める気などなかった。


「刹那、力を抜け」


ライルはそう言って備えつけのボディーソープに指を絡めた。
刹那は呆然としていて、何が起こっているのか分からない様子だ。
そのまま暴れずにいてくれたらいいが、とライルは心の中で独りごちた。
痣になった場所を避け、刹那の身体を弄る。
ボディーソープを泡立て、その指で後ろから刹那の秘所を探った。
途端に刹那は身体を震わせて、病人・怪我人としては強いがいつもには考えられないぐらい弱弱しく抵抗する。
ライルは抵抗出来ないように背後から強く抱き締めた。


「駄目、だ…ロック…ああっ!」


異物感より前に反応した刹那の身体に、ライルは苦笑を浮かべる。
薬の影響を無視しても、刹那が初物ではないことが同時に分かった。
この背徳的な行為に嫌悪感を抱いていることも同時に。
それでも、この方法以外刹那を救う手段が思いつかない。自分には出来ない。
指を呑み込もうときゅっと締めつけるそこに、ライルは幾分安堵した。

(これなら、刹那を痛みで苦しめずに済みそうだ)

十中八九薬のせいだろうが、ライルは呑み込みやすくなっていることだけ感謝した。
早急に中を探る指を二本に増やし、ぐりぐりと掻き回すように内部で動かす。


「気持ちいいか?」
「ん、厭だ、い…やだ…ぁ!」


刹那は聞き分けのない子供のように頭を振り続ける。
顔が近くにあったので、水しぶきがライルの顔や服に飛ぶ。
シャワーで濡れていた前髪が下りていて、刹那の表情はほとんどよく分からなかった。
しかし横から顔を覗き、刹那が涙を流していることに気付いた。
その姿は決してきれいとは言えない。
それなのに、ライルは自分の身体が熱くなるのが分かった。


「ロックオ、ン…んあっ、やめ…!」
「やめねーよ」


内壁を塗りつけるように二本の指を挿し抜き、しこりを見つける。
ライルは戸惑いなくそこに触れた。


「ひああっ!!」


衝撃で一回いった。
刹那自身が何回したか分からないが、萎える気配はまだない。
一度指を抜いて、とろっとしたそれに絡めた。
今度は少し強めに二本押し入り、喘ぎと咳を繰り返す刹那を更に追い詰める。


「ちが、お…れ…は!やあっ、んん」


刹那が何を言いたいのか、ライルには分からなかった。
それよりもさっさと薬を抜いて、寝かせる。
風邪にも怪我にもそれが一番だ。


「もっと啼け、刹那…」


(我慢するより、悪夢は早く終わる)

ライルはずれたバスタオルから覗いた背中と首筋に唇を落とした。


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