小説 | ナノ


 小春日和

「なんか今日ってスッゲーあったかいよね?」








時子ちゃんの怪我は幸い軽傷で、あれからすぐに退院できた


きちんと謝って、もう一度ちゃんと気持ちを伝えて許してもらったんだけど。

どうやらオレの考えてた事ぐらい、彼女にはお見通しだったみたいで。時子ちゃんはオレの気持ちの整理がつくまでそっとしとこうって思ってたんだって。なんかチョー情けないよなオレ。






そして今日は久々のデート。昨日の夜、『明日はどこでも好きなとこに連れてってあげるからね(v^ー°)』ってメール入れたら、時子ちゃんは近所の公園でピクニックしたいって内容の返信入ってた。


『お弁当はりきって作りますね☆』なんて可愛いメールだったけど、オレ的にはなんかこう、もっと、オシャレなカフェでランチとか、新しくできた駅ビルでショッピングとか、まあ、要するにもう11月なワケで、外はそこそこ寒いワケですよ。や!時子ちゃんとだったら寒さなんてヘッチャラなんだけど?










「今日は小春日和になるって、昨日のお天気予報で言ってたんです」

「こはるびより?」

「はい。冬の始めなのに、春みたいにあったかい日の事を小春日和って言うんです」

「そっか。小春日和か。」

「そらさん寒いの苦手でしょ?だから今日ほんとはあんまり乗り気じゃなかったんじゃないですか?」

「そっそんな事無いって!」





慌てるオレを見てクスクス笑う彼女は、やっぱり今日もオレの事なんてお見通しで。

























この世に寒さがあることさえ嘘のような 小春日和の午前11時

writer 花音








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