未来へ


catered by ゆり



あったかい手が私の頭をゆっくり撫でる。

するすると指の間に髪が流される。



それがすごく優しくて心地よくて…



眠りから覚めそうだった私は、もう一度夢の世界に戻りそうになったけど。



「おはようございます…」

「おはよう、郁美ちゃん」



瞼を上げて今日一番最初に私の瞳に映ったのは、

大好きな、そらさんの笑顔で。



私も自然と頬が緩む。



もともと隙間なんて殆どないくらいくっついているけれど、

そらさんは私の肩に回した腕の力を強めて更に抱き寄せて。



そっと瞼にキスを。







おはようの、キス。



このキスが、好き。





そらさんは柔らかく笑うと、また私の髪を梳き始める。



「結構前から、起きてたんですか?」

「ん? さぁ…どうかな?」

「起こしてくれれば良かったのに…」

「郁美ちゃんの寝顔、見てた」

「それ、恥ずかしいからやめてくださいって言ってるじゃないですか…」



熱を持った顔を隠そうとそらさんの素肌の肩に額をくっつける私の上に、

そらさんが笑って震わせた空気がふわっと降りてきて。



「オレ、郁美ちゃんの寝顔見てるの、好きだもん」



私を宥めるようにぽんぽんと頭を叩くその仕草に、

そらさんが触れた部分から伝わるその想いに。



胸の奥がきゅうってなって。



寝顔を見られるのは恥ずかしいけれどそらさんが喜んでくれるならいいかな、って。

寝起きの働かない頭で、ぼんやりと、思った。



「それに、可愛い郁美の寝顔を見れるのは」



そらさんは私の後頭部に手を差し込んで指で髪を軽く握って、

そっと私の顔を仰向かせるように促して、



「オレだけの、特権」



今度は唇に、キス。



触れ合っていた唇が名残惜しげに離れると、至近距離で柔く視線を絡ませて。



ふっと笑ったそらさんは、

ぎゅうっと私を抱きしめた。





絡んだ足と足は、

ぴたりとくっつく胸と胸は、

少し照れくさいけれど。



こうやって直にそらさんの体温を感じるのも、好き。





顔を寄せたそらさんの肩越しに見上げた窓からは、

カーテンを通り抜けた太陽の光が強く差していて。



「随分、寝坊しちゃいました…」



今は朝と言うよりも、昼、が似合う時間帯だと知らせていて。



「しょーがないよ。昨日、激しくしちゃったし?」

「そ、そらさんっ!」

「ん?昨日っていうより、今日?今朝?」



さらりと私の髪を撫でながら、

さらっと爆弾発言をするそらさんの腕の中で、

私は耳まで赤くして、そらさんを見上げた。



ふと、髪に触れていたそらさんの手がぴたりと止まって。



「誰か来る」



きょとん、とドアの方に視線を向けたそらさんが。





プレーリードッグみたいで可愛いと思ったのは、内緒。












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