白の、子守り歌
catered by 美澄
『甘子ちゃん・・・?今から、行っていいかな・・・』
真夜中
受話器の向こうから聞こえた声は、今にも消え入りそうに、そう告げた
日付が変わってしばらくした頃、家のチャイムが鳴った
「ごめんね、こんな時間に・・・」
「いえ、大丈夫です。どうしたんですか?」
「あー・・・、何だか眠れそうになくて、さ」
屈託無く笑うそらさんだったけれど、どこかいつもと違う感じがして
寒い北風から守るようにして、暖めた部屋の中に、凍えた背中を招き入れた
定位置のベッドサイドに座ったそらさんは、どこか遠くを見ていた
何も言わない唇の端が少しだけ震えているのは多分、寒さの所為では無く―――
こんな時、私は何をしてあげられるんだろう
いつも元気をくれる、あなたのために
『眠れないときは、これがいいんだよ』
ふと、脳裏に浮かんだ懐かしい声
思い出したのは
優しい優しい―――白の、子守り歌