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Banana-Muffin




いつも通り公園で甘子を見つけ、声をかけようとすると…



『お前、父ちゃんいないんだろ?』



と、嘲笑うような声が鮮明に聞こえてきた。

その声の主たちは、ネコ事件の時に甘子に捨て台詞を吐いて逃げ出した半ズボンのクソガキたちだった。



『父ちゃん、いねえんだろ?』

『いるもん…』



特に話してはいないけど、親父がいないことは薄々感づいてはいた。
言いたくないなら言わなくていいし、話したくなったら聞こうと思ってたから。
あんなやつだし、気にはしていなかった。



『どうせ愛人の子供なんだろ?』

『親父の下半身がだらしないって母ちゃんが言ってたぜ?』



多分意味もわからず言ってるんだろう。親の影響って本当怖い。



『違うもん、お父さんは、立派な人だって言ってたもん!』

『嘘つき』

『嘘ばっかついてんじゃねえよ。』

『…嘘じゃない!』

『うーそつき!うーそつき!』





『…嘘じゃないもん!!』



そう言いながら、半ズボンのクソガキのリーダーらしきやつの身体に体当たりをしようとする甘子



『おい!』



すると、クソガキは体当たりしてきた甘子をどん!と突き飛ばした。



『甘子!』



地面に尻もちをついた甘子は、一生懸命睨みつけていた。



『なんだよ、』



じりじりと距離を縮めるクソガキチーム。

俺が間に入ろうか迷っていると、甘子は手元の砂をぎゅっと掴んでクソガキに思いっきり投げた。

思わず、キャッチボールの成果がでたな、とか思ったけど、



『あったまにきた!』

『今日という今日は許さねえぞ!』

『きゃあ!』






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