hot cake! 「楽しみだなぁ」 僕の体温より少しだけ今は温かくなった甘子さんから漂う甘い香り 「…しばらく実家にも帰って…ないなぁ」 故郷を思い出して目を閉じながら、肩につく長い髪に顔を埋めるように更にギュッと抱きしめる 「…ま、真壁さん……あの、風邪移っちゃいますよ?」 その声にハッと顔を上げたら、俯き気味に耳まで真っ赤にしている 「っ!うわぁぁぁ!すっすすすすすみませっすみません!ぼっ僕…つい……甘子さんがあんまりにも温ったかくていい匂いだったから…」 「あ!あの…い、嫌だったわけじゃなくて……ただ、真壁さんにまで風邪うつしちゃったら大変だから」 「そ、それなら良かったです!」 お互い真っ赤になりながら焦る姿に笑みが零れた しばらく笑いあってふと、目が合うとどちらからともなく手を握った 「次の休みは、北海道に一緒に行ってもらえませんか?もちろん……それまでには頑張ってSPに昇格、しますから」 「…ふふっ楽しみにしてますね」 「僕が、甘子さんの専属SPにならなきゃ……そらさんたちにまでついて来られる羽目になりますしね」 苦笑いする僕の額に温かくて柔らかい感触が触れた 「私の、警護は真壁さんにお願いしたいです…だから、頑張ってくださいね」 照れ隠しをするようにおどけて敬礼してみせる甘子さんに気持ちが溢れてしまう そんな二人の距離が心地いいと思う…− 「不肖真壁憲太!甘子さんの専属SPに昇格することをここに誓います!」 そう叫んで身体が勝手に甘子さんを抱きしめていた 「きゃっ!……あの、真壁さん?今日はずっと、真壁さんと一緒にいたいです…あの、だから…」 そっと甘子さんの腕が僕の背中に回された 「う、嬉しいです…あの、今日は手、繋いで寝てもいいですか?」 「…はい」 部屋中に広がったホットケーキの香り…− 二人を繋いだ 甘いしとねの蜜の味 thanks:かぶうさぎ工房 |