MISS YOU 《桂木Said》 玄関の鍵を開けて、中へ入れば。 お帰りなさいと、満面の笑みで、飛びついてくる甘子。 微かに甘い匂いが、甘子から漂ってくる。 チョコレートなんかより、ずっとずっと甘い匂い。 リビングに促され、甘子が、冷蔵庫の中から、出してきたもの。 イチゴタルト。 もしかして、手作りなのか? 大地さん、甘いモノあまり得意じゃないからと。 砂糖は、極力控えて、イチゴとクリームと中のカスタードで味わって欲しいと。 何に対しても、やっぱり甘子は、俺を気遣ってくれていて。 そんな甘子の事が、愛しく思える。 ありがとうと、甘子を後ろから、抱き締めた。 そして、タルトと共に、バレンタインのプレゼントだよと。 リボンがかかった、一つの包みを差し出して来る。 「…開けていいか?」 ガサガサと開いてみれば。 その中身に、又一つ、甘子への想いが増していく。 こんなに自分を思ってくれる事が、どれだけの幸せを感じさせてくれるだろう。 沢山の人がいる、この星で。 キミに逢えた事も。 愛してくれる事も。 全てが、奇跡なんだ。 だから、甘子の事も、甘子の俺への気持ちも。 全てを、俺が護っていくよ。 誰よりも、何よりも。 甘子、キミを愛してる…。 . End →あとがき |