MISS YOU 《桂木Said》 昴に騙され、あの時は全国の遊園地に、バレンタインの時にだけ運行される、チョコレートファウンテンという名前のジェットコースターを、甘子の喜ぶ顔が見たいばかりに、必死に電話をしていたな。 全く、俺は自分でも呆れるくらい、そういう事に関しては疎いと、自信を持って言える程だ。 それでも、甘子は、そんな俺でも構わないと、あれからずっと一緒にいてくれている。 仕事柄、なかなか会う事が出来なくて。 寂しい想いもさせてしまっていても。 甘子は、いつも俺を気遣って、自分の気持ちは後回しで。 お仕事頑張って下さい。そして、絶対に私の所に帰って来て下さいと。 付き合い出して、随分経ったのに、いつも俺の事を一番に考えてくれて。 甘えて欲しいのに、いつも甘子の気持ちに甘えてしまっているのは、こっちの方だ。 2回目のバレンタインは、2人でショコラティエの作品展に行ったんだよな。 自信はないけれど、初めて2人で協力して、お菓子を作ったな。 キミの手際の良さに、実は感心してたんだ。 レシピを見ただけで、手順を頭の中に思い描いて、俺にきちんと指示を出してくれて。 何度も失敗したけれど、最後に最高のお菓子を作れたと思ってる。 あの時撮った、記念写真。 今も、アルバムを飾る一枚になっている。 その写真の2人は、今でも照れてしまう程の笑顔で写っている。 きっと、今でもキミは、カメラを向ければ最高の笑顔を俺に、向けてくれるんだよな。 . |