「ねぇ、名前」

「ん？どーした雷蔵？」

「Trick or treat!」

「あぁ、はい、飴。雷蔵って発音いいね」

「・・・・違う！」

「いや、違うって言われても・・・」


今目の前には雷蔵の顔。
無駄にいい発音で今日学園中で誰しもがいっている言葉を言う。

いつもの学園長の思いつきで今日は「はろうぃん」をやっている。
「とりっくおあとりーと」といって相手にお菓子をもらうらしい。
やる意味が一切わからないがそれなりに楽しいのだろう。
雷蔵が来る前にもくのたまとか鉢屋とか竹谷とかが来てねだってくるから
いちいち部屋に取りに行くのも面倒くさいので
今日のうちはとりあえず飴を常備している。

そんなこんなで、これだ。


「僕はもっと期待してたんだけど・・・」

「何を？」

「そりゃあ、名前のキ、ス・・・えっ！？」

「へー、そんなこと思ってたんだ。雷蔵ってだいたーん！」

「ち、違うか「Trick or kiss」ら・・・」

「もはや原型なしくずしだけど。さ、早く。選んで。
３、２、い「kissで！」・・・雷蔵、男前ー」

まさか速効でキスしてくるとは思わなかった。
普通選択肢選んで相手が止まってからするもんじゃないのかな？
こういうときだけ竹谷よりも男らしいし迷わないんだよね。
まぁ、そんなとこも含めて好きなんだけど・・・。


「もう！名前！？」

「ひぃ！こわ！兵助ー、勘右衛門ー。助けてー！雷蔵様がお怒りじゃー！！」


Trick or treat!