「おい、大丈夫か」


返答ができない。大丈夫じゃないです。
体の節々がすごく痛いです。
どうしてこうなったかのかもわかりません。
第一貴方誰でしょうか?
でもとりあえず意思表示として
身動きするとどうやらわかってくれたみたいです。


「ちょっと待ってろ。おい、仙蔵!」


「何だ文次郎、うるさい。
・・・こいつは喜八郎の・・・」


どこかで聞いたことがあるような・・・。
あぁ、あの時の実習の人たちだ。
確か三木エ門と喜八郎の委員長。


「文次郎、縄を使って引っ張り上げろ。
穴が小さすぎて抱えては登れないからな。
しかしなぜこんなに・・・。喜八郎が掘った穴とは思えんな」


「引っ張り上げるぞ!」


忍術学園にきてからよく感じられるようになってしまった
いつもの浮遊感が今日は痛みがプラスされて襲ってくる。
ちょっと寝てたい。
保健室に連れて行ってもらえれば幸いだが連れて行ってもらえるだろうか?


「おい、大丈夫か!」


「寝てるだけだ。とりあえず保健室に連れていくか」









何かと何かがが穴の中に閉じ込められた。
否、埋められた。
何だっけ?誠と一緒に埋められる光景を見た。
殺した死体?殺された死体?
違う、違う。そんな汚いものじゃない。
綺麗なもののはずだった。


くるりと巻かれた金色の髪に海のような青い目。
つややかな白い肌に、それを目立たせる豪華なドレス。
シンデレラのような靴を履かせていた。


そうだ、フランスの人形。
それならもう一つは・・・。


サラサラとした黒髪に引きずりこまれそうな漆黒の瞳。
黄色人種特有の肌の色。黒で統一された和風の着物。
色々あるけど私は下駄をはかせるのがお気に入り。


日本人形。
この二つが埋められた。


でも、誰のものだったっけ?
フランス人形はきっと隣の軍隊のフランス人の娘さんの宝物?
娘さんそっくりだそうで溺愛するように大切にしていたはず。
どうして埋められた?
隣の軍隊が壊滅して、生き残りがいないから。
そのフランス人も。ただフランス人の残した邪魔な荷物を処分しただけ。


日本人形はきっと、きっと私のもの。
おじい様が残した形見とも言えるもの。
名前だってあった。確か、簡単なもので。
着物の柄が椿だったから、椿だったはず。
私は生きていた、なぜ埋められた。
日本人形をお偉いさんが嫌ったから。
気持ち悪い。たったその一言で。
埋められる直前、人形が動いた気がした。


「龍之介!」












私の名前をよんでくれるのは友の声。


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