痛い。滲みだす赤色は服の隅から隅へと染めていく。
痛い、でもこれは夢。あれ?夢だったか?
もしかしたら現実かもしれない。
だとしたらこれはちょっとなぁ。
なんで森にいるんだろ?
今日は座学だけだったはず。
冷静になれ、眠るな自分。
思ったより出血がひどいなぁ。
体の一部からすべてがドロドロと出ていく感覚。
やっぱりこれは現実なのだろうか?
まだ、誠に気付いてもらえてないよ?
・・・あそこにいるのは誠?
あ、やっぱり誠だ。
そんな悲しそうな顔しないでよ。
笑ってる顔が一番好きよ?
何探してるの?何言ってるの?
"‐‐!どこだ!死ぬな!"
はは、もう無理だよ。
自分が死ぬ時なんてわかるんだよ。
あと数分もつかどうかだよ?
ほら、気付いた。
いつもいってるけど最後なんだし今までよりも強く。
ありきたりだとかどうでもいい、気持ちさえこもってれば。
「愛してる」
「龍之介、何言ってるの?起きて」
「・・・」
目を開くと喜八郎の顔。
・・・・・・夢・・・・・・・・?
「おはよう。珍しいね、寝坊」
「あぁ、そうだね。授業は?」
「今日はないって言ってた」
よかった。あれは夢、こっちが現実。
なんて思っても感覚はぬぐえない。
いつか起こってしまいそうな現実であるような気がして。
早く誠に会わないと・・・。
「ねぇ、愛してるって何?」
「寝言でいってた?」
「うん」
「私が生涯を捧げる唯一の人に対しての言葉。
いつか喜八郎にもそんな人が出来るさ」
「そう?」
「あぁ、食堂行く?」
「行く」
夢と現は表裏一体。
← →