「数馬ーーーーー!!!!!」


追いかけてきていた富松君とは違う意味での
叫び声。


「数馬がまたなんかしたのか!見に行くか!」


そういった神崎は耳を澄ましているので悲鳴の聞こえる
方角を探しているのか?と思っていると
彼は悲鳴の聞こえる南西とは真逆の北東を指差し


「あっちか!」


といい走り出そうとした。迷子というか方向音痴な
人間を初めて見たのでこんなにひどいものなのか、
とのんきに感心しているといつの間にやら
呟くのが終わっていた富松が


「勝手に動くなー!あ、三之助!お前もどっかいくな!」


必死に止めていた。
母親みたいだな。


「あ、作兵衛!数馬が落ちたんだけど
穴が深くて腕が届かないんだ!手伝ってくれよ」


「だったらこいつら見ていてくれ!どこだ?」


「あっち!」


穴か・・・。喜八郎がいるかもしれないな。
行ってみるか。
今思えば妄想に入ってから
富松は私に気付いてないよね。


ん?穴が見えた。


「数馬!大丈夫か?・・・ちょっと深いな・・・」


「僕は大丈夫だから心配しないで!」


「おう!ちょっと待ってろ!えーっと・・・
って先輩!?」


この穴、一年にはまだ深いけど
二年には余裕だな。これならいける。
ヒョイなんて効果音がつくようなノリで
俺は穴の中に入る。


「先輩ぃぃぃぃぃ!?」


富松君は叫んでるけど
本当に深くないし六年生がはいったら
顔がでてもおかしくない深さ。
少し暗いから視界が悪いが人を抱えながら
上がれる距離だ。心配することではない


「・・・大丈夫?」


「はい!ちょっと足を捻っただけで・・・」


捻ってたらここは登れないな。


「・・・ちょっとごめんね」


横抱きにしてみる。「はわっ」
なんて可愛い声を出しているあたり
まだまだ歳が若いな。なんて
年寄りのような考えをする自分がいて少し笑みをこぼす。


「・・・揺れるけど気にしないで」


二年生でも成長はしている。
授業は一応皆勤しているし前世の知識があるので
これぐらいお手の物だ。
クナイを足の届く側面に突き刺して
その上にのる。そしたら視界はもう明るい。


「はい」


富松君に数馬という名前の子を預け
クナイを回収するため降りる。あとは
実践通りに普通に手で持ち上るだけ。
すぐにでれた。


「数馬を助けてくれて
ありがとうございました!」


富松君のお礼に「どういたしまして」と
返したあとちょうど彼の後ろに走る二人がいた。


「・・・・あれ、いいの?」


指をさしてあげると反応して後ろをむく。
とたんに


「お前らーー!!!」


と彼は走って行ってしまった。



















騒がしい子たちだなぁ。


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