この子、器用だな。


目の前にいるのは能勢君や時友君と同じ
一年生。


私の足に手際よく包帯を巻いている。


「先輩、できましたよ」


事の始まりは数刻前。


私と喜八郎は穴の中にいた。
別に何をしようとも思っていたわけでもないが
二人揃ってボーッとしていた。
ときどき聞こえる悲鳴と誰かの名前をよぶ後輩らしき声。
大方善法寺先輩やそこらが落ちたのだろうと
納得してまた再開。


隣の喜八郎は眠ってしまっていた。
すると影がかかる。その影はどうみても
落ちてきている。
私は咄嗟に喜八郎を覆いかぶさるように庇ったのだが
背中に衝撃が来た時誤って足を地面につけ擦ってしまった。


「いたた・・・・」


「・・・大丈夫?」


「あ、いたんですか!すいません。
僕は大丈夫で・・・・」


あれ止まった?


「ケガしてるじゃないですか!」


「今すぐここから出て治療しないと!」


「・・・これぐらい普通」


「なにが普通ですか!」


怒られてしまった。この子は保健委員かな?
たまには治療してもらうのもいいかな。


「・・・・優しいんだね」


「べ、別に優しくないです!これはただ怪我した部分が〜」


十分優しいと思うんだけど・・・。喜八郎起こさなきいと。


「・・・喜八郎起きて」


「ん・・・」


「綾部先輩いたんですか!?」


「いたら悪いかい?龍之介、連れてって」


「わかった。何がいい?」


「横抱き」


男が男を横抱きはどうかと思うが
まぁ喜八郎だし。と思い横抱きにする
少年が喜八郎に何か言っていていたが
喜八郎が言い返した言葉で顔を真っ赤にして
うつむいていた。
そんなことをしながらついた保健室。


そして冒頭に戻る。


「・・・うまいね」


「う、うまくなんてありませんよ!
保健委員として当然です!」


そういうものかな?保健委員だとしても
うまいものはうまいと思うのだが・・・
ツンデレか?


「・・・名前は?」


「・・川西左近といいます」


「・・・ありがとう。川西くん」



「龍之介、私にもかまってよ」


喜八郎のほうが子供に見える・・・













すべてを忘れそうな幸せな日常


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