ここは図書室。静寂な空間。
私は一年生の時から週3の割合で通っている。
本は珍しいから。


ただ今まで三年間図書委員長にあったことがない。
人は変わっているだろうし、当番があるはずなのに。
それに鉢屋先輩の友である不破先輩にも。
たんなる偶然なのだろうがやはり三年もいると
おかしく思えてくる。


まぁ今日も当番は上級生ではなく一年生なのだが。


その一年生は今隣で作業していて本を棚に入れようと
しているところなのだが・・・高い所には背が届いていなく
近くに踏み台はない。手を伸ばして入れようとする
健気な姿に少し目を奪われた。


少し誠とかぶって見えた。
だからだろうか?体は勝手に動き始め
少年の本を掴み取り入れようとしていた
棚へいれた。


少年が不思議にこちらを見上げている。
見返してやると頭をさげてどこかへいってしまった。
なぜ喋らないのか不思議におもったが
図書室が「私語厳禁」なのを思い出し納得していた。




「あの・・・」


本を見て回り図書室をでた所で声をかけられ
後ろをみてみるとさっきの一年生。


「さっきはありがとうございました」


「・・・どういたしまして」


「また図書室にきてくださいね」


顔を真っ赤にして言ってくれる姿は
愛らしいものだった。


「・・・うん。名前は?」


「能勢久作です」


「・・・じゃあね。能勢くん」





















素直な子は嫌いじゃない。


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