「──!──っ!」
──の名前が言葉に出せない。
──はこちらに微笑みながら死んだ。
死んだ死んだ死んだ死んだ。
俺をかばって。
愛しい──はもう、冷たい。冷たい。冷たい。
撃った戦車はまだいる。そう、まだいる。
殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ。
一人の人間対戦車なんてバカげた話だが、
今手持ちには、戦車を壊せるほどの
俺特性手榴弾がある。
──を殺した仇をとろう。
俺は、手榴弾をなげた。
視界は真っ暗になった。
「誠!わかるか!」
目の前にはナルシストの大佐が焦ってこっちを見ている。
「わかりますよ。大佐」
「よかった。どうなることかと心配して「──は?」
もしかしたら言えてないのかもしれないが、
大佐に聞いた。
大佐は悲しい顔で、「ここに」
と、金属製の箱をくれた。
「三日も寝ていたから焼いてしまったんだ。
すまない」
「いえ、大丈夫です。明日には復帰しますから」
「まだ、安静にしておかないと・・・」
「いえ、でれます。行かせてください」
「・・・わかった」
いつもの自慢をなくした大佐は
つらそうな目で了承してくれた。
「死ぬなよ」
「はい」
すいません。はいなんて嘘です。
──のいない世界に生きてる意味なんて
ないんです。
*******************
翌日
俺の目の前には戦車があった。
しかしそんなことはどうでもいい。
はやく殺してくれ。
すこし遠ざけた場所においてある──に向かって、
口パクで言う。
{すぐ会いに行くから、待ってて?}
また──に会うから。必ず。
激痛とともに広がる赤の世界に──の泣いている顔が見えた気がした。
すぐいくからなかないで?
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