それは闇だった。
何も、何も、何も、何も、見えない。
そんな心境を震えとしてあらわしていると
体にぬくもりが触れた。
ポロ、ポロ、ポロ。
なぜだろう。涙が止まらない。
わたしはこのぬくもりを知っているだろうか。
誠。
そうぬくもりの正体を思った瞬間。
視界に光が入り込んだ。
見えるのは血まみれの戦場。
生前にいたところだ。
そのなかに突っ立ている誠。
愛しい彼の前にあるのは敵軍の戦車。
直感的に気付く。
誠は死のうとしている。
止めようと思っても体は前へ進まない。
一瞬彼がこちらを向いた。そして私と目を合わせる。
そしては彼はこういった。
─すぐ会いに行くから待ってて?─
そして彼は撃たれた。たった一撃、心臓を撃たれて。
涙はついに滝のようになった。
視界はまた闇にもどり、あける。
目の前に見えたのは、にじんだ木造の天井と友の顔だった。
誠、私は待ってるよ。だから早く。
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