私は構える。
左手だけでもつ。
周りから「えぇっ!」と、いう声が上がる。
まぁ普通ではないことはわかっている。


普通ならば火縄銃などの長い銃は重いし反動が大きいので反動を抑えるために
両手で持たなければいけない。


しかし今の私なら子供の姿であろうと、
片手でいける気がした。


生前、長い銃を使っていたが私は片手だった。
誠にかっこよく見せたくて必死に片手だけで撃てるよう
練習した。


そして今、練習場にいた全員がこちらを見ている状況で
私は構えた。


ズガン。


私の腕はぶれなかった。
弾はまっすぐ飛んでいき的の真ん中にあたる。


たったこれだけの動きが長く感じられた。


「・・・すごい」


三木エ門のつぶやきが発せられた後
いろいろなところから同じような内容が聞こえる。
しかし私はうれしくなかった。
目の前の三木エ門が泣き出したのだ。


「私よりも火器の扱い方がうまいなんて・・・。
得意武器を変えないといけないなんて・・・」


さすがにいたたまれなくなった。
みんなの前で武器を変えるなどと発言して
しまったので変えなければいけないと思っているのだろう。
私はこんな柄ではないが慰めるしかないのだろう。


「大丈夫。得意武器は変えられないよ。得意なことは運命だから変えられない。
だから三木エ門は変えなくていい。・・・いや、火器が大好きな
三木エ門が変えられるわけがないだろう。
だから大丈夫。私が銃の扱い方が得意なのは
小さいころから親が練習さしてくれていたからうまかっただけ。
三木エ門は十分すごい。
私はやり始めたころあんなに真ん中近くに撃てなかった。
だから三木エ門はすごい。大丈夫」


長かったか?いや三木エ門は泣きやんでくれている。
よかった。


「龍之介・・・。ありがとう」


「どういたしまして。
これからも仲良くしてくれな?」


「うん!」


これで終わった。
やっぱり本気出したのはまずかったのかな?
でも本当によかった。





久しぶりに泣いている子をみた気がする。


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