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"起きたら連絡して"

空き教室で惰眠を貪っていたが、泉からのラインを読んで無理矢理瞼を上げた。
すぐに折り返したが出やしねえ。あの野郎と苛立ちながら、鞄をとりに行くついでに泉の教室へ向かった。

「真琴と三上見てると歯痒いんだよねえ」

開けっ放しの扉の向こうから潤の声が聞こえた。
教室内には誰も残っていないので声量が大きい。

「歯痒い、とは?」

「なんていうか、真琴ばっか我慢して、真琴ばっか割食って、真琴ばっかがんばって……。その内真琴が疲れるんじゃないか、どこかで急に限界がくるんじゃないかって。二人のつきあいに口出しするのはよくないけど僕はどっちとも友だちだから心配というか」

「潤はいい奴だ」

「いい奴とかそういうんじゃなくて!三上だって真琴のこと好きなはずなのに口下手だし態度も悪いし、そんなんじゃ真琴が離れていっちゃうぞってはらはらする。別れたらダメになるのは絶対三上のほうなのに」

「そんなことないよ」

「ある!」

くすくす笑う泉の声はどこか他人事だった。
盗み聞きなんて趣味が悪いとわかっているが足が動かない。

「僕はみんなが言うほどいい子じゃないし、がんばってないんだ。本当に」

「真琴ががんばってないなら世の中みんながんばってないよ」

「ううん、僕は臆病だから今のままが丁度いいんだ。なんていうか、一人一人の幸せは決まってると思ってて、三上とつきあえただけでも人生の八割くらいの幸せを使ってるから、三上と一緒にいたいなら幸せを限界まで薄めて長く飲むほうがいいんだ。僕そういうの得意なんだ。子どもの頃カルピスすっごく薄めて長く楽しめるように飲んでたから」

「三上とカルピスが同じって」

「同じじゃないんだけど!カルピスはまた買えるけど三上は一度なくなったら二度と手に入らない。慎重に大切に過ごさなきゃいけないと思ってる。でもたまに寂しいが大きくなって三上に無茶を言っちゃうんだけどね」

「真琴……」

「みんなが心配してくれて嬉しいよ。でも本当に僕は今の関係で大満足なんだ」

それ以上聞いていられなくて漸く足を動かした。
苛々、焦燥、色んなものが胸でぐるぐる渦巻く。
泉の後ろ向きなんだか前向きなんだかわからない性格は今更だし、何故自分が腹を立てているのかもよくわからない。ただあんな風に自分で自分を頭打ちにするのが無性にむかつく。
自尊心の低さは一朝一夕では直らない。わかっていたし、以前に比べれば少しずつよくなってきたと思っていたのに。
ああ、そうか。
校門を抜ける寸前、立ち止まって校舎を振り返った。
自分が泉をそうしているというのが気に喰わないんだ。


泉とまともに話せないまま終業式を終え、寮内は随分静かになった。
昼頃に漸く目を覚まし、スマホを眺めたが泉からの連絡はない。
結局クリスマスの約束なんてなにもできないまま当日になってしまった。
自分なりに色々考えてみたが、どうすれば泉が喜ぶのかわからなかった。
そんなこともわからないのかと気付いて舌打ちして、結局答えは出ないままだ。
それでもきっと何の約束もなくともあいつは俺を待っている。
小さく溜め息を吐き、電話をかけたが繋がらない。
その内折り返してくるだろうと気長に待ったが、昼飯を食べだらだら過ごしている間も連絡はない。
流石におかしくないかと不安になり、泉と夏目の部屋をノックしたが誰も出てこない。
まさかぶっ倒れたりしてないよな。嫌な想像をして扉を壊す準備をした瞬間、ポケットの中のスマホが振動した。

『三上ごめん!折り返し遅くなった!』

いつも通りの声色にとりあえず安堵する。

「お前今どこ?部屋の前にいるんだけど」

『え……』

それっきり無言の時間が続いたので、電波が弱いのかと耳からスマホを放した途端に叫ぶような声が響いた。

『みか!三上ごめ、あのっ──!』

「落ち着け、噛んでる」

『本当にごめん!』

「なにがだよ」

『約束とかないまま終業式終わったからクリスマスは会わないんだと思って……』

「……実家に帰ったのか」

『う、本当にごめんなさい。約束がなくても寮にいればよかった……』

泉が謝ることなどなにもない。
ただ泉はどんな状況でもきちんとお座りをして待ってる、自分を最優先に考えるはずと驕っていたのが悪いのだ。
だけど以前の泉なら会えなくても同じ建物内にいたいとか言って残っていたはず。
潤の言葉を思い出す。
いつか急に限界が来たら、泉はこうやって何の前触れもなく俺の前から姿を消すのだろうか。
背中にぞくりと悪寒が走る。
泉が俺から離れていく。そういう可能性も僅かだがあるのだと、急に現実味を帯びてしまった。

『三上怒ってる……?ごめんね、今からそっちに──』

「いい。俺が行く」

『え、でも……』

「待ってろ」

答えを待たずに電話を切った。
悠長に泉が来るのを待っていられない。正体不明の切迫感に眉を寄せた。
今すぐ別れるわけでもないってのになにを焦ってんだか。
でもここでいつもの自分を取り戻したらまた同じことの繰り返しになる。斜に構え、自分が世界の中心で、それに泉がついて来れなければばっさり切り捨てる、そんな自分。
他人に寄せる感情のほとんどが錆びて機能しなくなった欠陥品は、泉が自分に与えるほとんどを見逃し、それがどれほど貴重だったか失ってから知ることになる。後悔などなんの意味もないのに。
だからこの気持ちのまま泉に会わなければいけない気がする。
十六年かけて出来上がった三上陽介は泉の一挙一動で呆気なく粉々になって、そんな自分を俯瞰すると最高に気持ち悪い。
こんなの自分らしくないとか、女々しいだとか、それっぽい理由をつけて立ち止まりたくなる。
だけど泉がもっと欲張りになれるよう、二度とあんな風に自分の値打ちを決めぬようにできるのは俺しかいない。

「クッソだせえ」

自分で自分をいじめ、長い溜め息を吐き出してから部屋を飛び出した。
泉の実家の最寄駅まで一時間ほど。改札を抜けスマホを取り出すと、駅前に備え付けられているベンチから泉が駆け寄ってきた。
顔を見た瞬間安堵し、胸に広がる切迫感や蓄積される罪悪感が少し薄れた。

「三上!」

泉はろくな防寒具もつけぬ格好で頬も鼻の頭も真っ赤にしていた。

「お前ずっと待ってたのか」

「うん。三上が来てくれるなんて、居ても立ってもいられないでしょ!?」

泉の行動力の根源が知りたい。
三上のためならなんでもする。泉は口癖のように言うけれど、好きなどという気持ちだけでここまで盲目的になるものだろうか。
呆れたように息を吐いたが、そんなもの気にする様子もなく、泉は笑みを携えたままこちに一歩近づいた。

「お腹減ってる?ここら辺ファミレスが一軒あるくらいなんだ。それともコーヒーショップ入る?」

本音を言えば暖かい室内に入りたいが、他人の目がある場所でおかしなことを言ったり、したりしそうなので緩く首を振った。

「外でいいからどっか座って話したい。誰もいない場所で」

「……話し?」

「話し」

「あ……。じゃあ公園とかでもいいかな。少し歩くけど……」

目的地に向かう途中のコンビニで温かいコーヒーを二つ買い、一つを泉に渡した。
ありがとうと笑ってくれたが先ほどよりも覇気がない。
足取りも重そうで、終始俯いてぼんやりしている。
こいつのテンションの落差は慣れたものだと思っていたが、ここまでひどいのは初めてだ。
なにか気付かぬうちに地雷でも踏んでしまったのだろうか。
泉の頭の中は宇宙と繋がっているので平凡な自分には理解し難い。
そのうち公園につき、年季の入った木製のベンチに腰かけた。
公園といっても子どもが遊べる遊具はほとんどなく、北風が吹く中こうしてじっと佇んでいるのは自分たちだけだ。

「あのさ」

言葉を切り出すと、泉があ、と声を上げた。

「僕三上にプレゼント買ったんだ。忘れずに持って来ようと思ったのに置いてきちゃったな」

そういえば自分もプレゼントを置いたまま出て来てしまった。
そこまで頭が回らなかったのと、一秒でも早く会わなければいけないと焦ったためだ。

「三上に会えると思ったら嬉しくなって他のことが頭から抜けちゃった。みんなにぼんやりしてるって怒られるけど本当にだめだね」

「別にいい」

「そっか……。あの、こんな所まで来させてごめんね。住宅街だからなにもないし」

「いいって」

「寮に残ってればよかったな。姉から暇なら帰って来きたらって言われて。あ、姉は大学生なんだけど毎年クリスマスもバイトしてて。僕とは違ってすごくしっかりしてていつも怒られるんだ」

饒舌な姿に違和感を覚えた。
なにか怖いものから逃げるように話し続けているから。沈黙が流れたら死ぬ病気にでもかかってんのかこいつは。
いつもならうるさいと一蹴する場面だが、泉が満足するまで好きにさせた。どうせ内容の二割も聞いてない。
暫くすると話題が尽きたのか、そわそわと挙動不審になった次には押し黙ったまま靴先に視線を固定している。変なクスリでもやってんのかと疑うレベルで不安定だ。

「泉」

声を掛けるとおもしろいほど泉の肩が揺れた。
なにをそんなに恐れているのかわからない。わざわざ手を挙げるためにこんな所まで来たと思われているなら心外だ。

「……さっきからなにビビッてんだよ」

「あ、あの……。ごめんなさい」

そんな謝罪が聞きたいわけじゃない。
泉の気持ちを理解しようと思ったのに、本人が心の扉を固く閉じてしまえばもうどうしようもない。
無防備に施錠もせず、終始開けっ放しかと思えば急にきつく閉じるものだから扱いに困ってしまう。
こじ開けることは簡単だが、それでは今までと変わらない。かといって相手が開けてくれるのを待つほど気長な性格でもない。
殴って解決できる問題なら簡単なのに。
そういう恨みや嫌悪を向けられたときの対処法ばかり得意になって、大事なものを大事にする方法なんて一つもわからない。
ふと、愛がほしいと言った泉の言葉を思い出した。
購入したプレゼントは置いてきてしまったが、これなら今あげられる。
どうしていいかわからないので、とりあえず冷え切った泉の手を握った。
少しは気分が晴れてくれるだろうと想定したが、予想に反して泉は今にも泣きそうに顔を歪めた。
どうやらこれは正解ではなかったらしい。
めちゃくちゃ面倒くさい。もうなにも考えたくない。なんで俺がこんなこと──。
楽なほうへ逃げようとする思考を封じ、握っていた手に力を込めた。

「……ごめん、もう大丈夫だから。三上の話し聞くよ」

改めて言われると用意した言葉など一つもないので戸惑う。
ただ少しでいいからわかってほしかった。言動や行動はひどいものだが泉は自分の中で特別で、もっと欲張っても良いのだと。
言葉を尽くす能力が著しく低いので、どうすれば上手に伝わるかわからない。
呆けていると、泉は今にも崩れそうに笑った。

「僕に気を遣わなくていいよ。大丈夫だから」

「大丈夫って言うな」

「……ごめん」

ああ、違う。そうじゃなくて。
泉の言う大丈夫は口癖だ。そうやって周りにも自分にも言い聞かせている。
でも本当は内側が膿んで醜く崩れ落ちそうな瞬間があることを知っている。だからせめて自分の前では嘘の笑顔も嘘の大丈夫も言ってほしくない。
内側をぶちまけてくれていいのに、俺が相手だと他以上に必死に隠そうとする。
なにもかもが気に入らない。なのに苛立ちの正体がよくわからないから言葉にできない。
うじうじと立ち止まって方法を探したところで意味はない。
経験したことのない知らないものは考えたって見つからないのだから。
失敗しても、綺麗に組み立てられなくても経験を積んでいくしかないのだ。
ままならない気持ちは放り投げたほうが楽なのに、泉のためにと踏ん張ろうとする。そういう自分ばかりが浮き彫りになり、乾いた笑いが零れた。

「俺お前のことになるとだめだ。だめすぎてどっから直していいかもわかんねえわ」

顔を上げた泉がパチパチと瞬きをした。間抜け面だ。

「三上はだめじゃない。全然だめじゃない!三上は──」

美辞麗句が並びそうな予感に泉を手で制した。

「俺はお前が望むつきあいってやつをしてやれない。他の男のほうがお前を幸せにできる」

まだ話しの途中だったのに、泉は立ち上がるとこちらを見下ろす形で首をぶんぶん左右に振った。

「嫌だ。そんな理由で別れるとか言わないで。僕は三上がいい。三上以外と幸せになったってそんなの意味ない。だから考え直して」

言葉の意味が理解できず眉根を寄せた。
俺がいつ別れ話しをしたというのだろう。泉を繋ぎ止めるためにここまで来たのに逆の方向へ向かっている。

「悪いところは直すよ!しつこくするのも控える!好きじゃないくてもいいから嫌いになるまでは一緒にいさせてよ……」

「ちょっと待て」

「僕がんばるから。もっともっと、三上の役に立つ人間になるよ」

「待てって!」

腕を握ると漸く泉がこちらを見た。
目線を合わせると彼の顔がぐにゃりと歪む。今にも泣きだしそうだ。
あれ、これ俺が悪いの?

「なんで急に別れる話しになってんだよ。そんなこと言ってねえだろ」

「……だってわざわざこっちまで来て店じゃ話せないことって別れ話以外ないもん。去年はクリスマスにこっぴどく振られて今年はクリスマスに別れ話されるんだって。僕はクリスマスに不幸になる呪いにかかってるに違いないと思って……」

なんでこいつは──。
いや、一先ずその思考回路は不問にして、泉の中では俺の行動が最後の審判に相応しいほどありえなかったということだ。
わかるけど、自分の撒いた種だけど、さすがに少し傷つくだろ。

「俺はただもう少しお前を大事にしなきゃと思って……」

咄嗟に口にして、慌てて引き結んだ。
一度発した言葉は戻すことができない。だからちゃんと選んで音にしようと思った。特にこういう慣れない言葉を並べるときは。あれこれ考えていたのに全部が水の泡だ。
泉はいつも俺をそういう風に貶める。

「だ、大事……?どうしたの急に。もしかして死期が迫ってるとか?やだやだ!三上が死んだら僕も死ぬから!」

「勝手に殺すな。お前が愛がほしいとか言うから……」

泉がいつか、もう疲れたと言って立ち止まるのが怖くなっただけなのに、彼に責任を押し付けるような言い方になってしまった。

「あ、僕が不用意にそんなこと言ったから困らせちゃったんだね。僕はキス一つでも満足だよっていう意味で言ったんだけど……」

「だったら最初からそう言えよ……」

「欲張らないようにしようって思ってるけど三上が悩んでくれたのがすごく嬉しい。僕のこと考えて少しでも応えようとしてくれたってことだもんね。だからすごくたくさんの愛もらったよ!」

たったそれだけのことが愛の証明に値するのだろうか。多分泉の基準が低すぎるだけで、結果を伴わない過程など贈り物にすらならない。
こんな中途半端で終わるわけにはいかないと、妙な反発心が育つ。

「泉わかってる?俺がこんなことするのお前しかいないって」

「わ、わかって、る」

「自分が特別だって自覚ある?」

「そんな烏滸がましいことは……」

「じゃあ自覚しろ。今から」

「う、はい……。あ、じゃあ一つ我儘言ってもいい?」

「なに」

「名前呼んでほしいなあ」

「……真琴」

「わー……。寿命が延びた。これからもたまにでいいから名前で呼んでほしいな」

「覚えてたらな」

「うん!」

たったそれだけのことで笑顔をみせられると罪悪感に襲われる。

「あと隠し撮りじゃない写真撮ってもいいかな」

ポケットからスマホを取り出したので、隣をぽんぽん叩いた。

「俺だけの写真じゃなくてたまには違うもの撮れば」

「いいい、一緒に撮ってくれるの!?」

「今日だけ特別」

「わ、あ、すごく嬉しい!」

カメラ機能とかアプリとか、そういうのはわからないので泉に任せた。
人を盗撮するくらいだから俺よりは詳しいだろう。
写真なんて学校の行事くらいでしか撮らないので笑顔の作り方もわからないし、いつも通りの無表情になっただろうが、泉は画面を見ながら感極まったように震えた。

「おお、神よ……!」

片膝をついて祈り出しそうな気配を察し、やめろよと予め釘を刺した。

「じゃあ僕も三上へのプレゼントとりに行こうかな。折角だから今日渡したいし」

「家に帰るならそのまま荷物持って来い」

「荷物?」

「一緒に寮に戻るだろ」

「へ」

「戻るよな」

「も、もちろん!三上がそう望むなら!」

「次は勝手に離れるなよ。俺の近くにいるんだろ」

「ひゃい……」

なんだその気の抜けた返事は。
どこか誰にも邪魔されない場所で泉にわからせてやらなければいけない。特別で、大事で、泉しかいないのだと。
愛がほしいと言い出したのは泉なのだから、どんな仕打ちをされても耐えられるだろう。歯の浮くような甘ったるい言葉とか、理想のデートを再現してやるとか、そういうものは無理なので、自分なりの伝え方で叩き込み二度と同じことを言わないように躾けよう。

「行こう三上」

手招きする泉の元へ行きながら、自分の首元からマフラーをとり、彼の首にぐるぐる巻いた。

「こっからなのに体調悪くなったら困る」

「こっから……?あ、三上の香水の匂いする!」

マフラーに顔を埋めたかと思うとはあ、はあと息を荒くする姿を見てドン引きした。
いつものことだがこれが日常化してることがまずおかしい。慣れとは怖ろしいものだ。
こんなストーカーのどがつく変態を愛おしく思う自分はもっと怖ろしい。
だけど引き返せない場所まできてしまった。泉のいない生活なんて。
いつからこんなにも想うようになったのだろう。泉は俺にどんな魔法をかけたのだろう。
引き返せるならそうしたいと思ったり、でも泉の笑顔を見るとどうでもよくなったり。それの繰り返しで心底疲れ、突き放せばましになるかと思いきや暫くすると顔が見たくなって触れたくなる。
これが恋愛感情というものなら抗うよりも受け入れたほうが楽になる気がする。

「三上、ケーキ買って帰ろうよ。全部食べられなかったら僕が食べるから」

「うん」

たったそれだけのことで喜ぶ姿が痛々しい。
幸せを長く享受するためには限界まで薄めなければいけない。そんな悲しい言葉思い浮かびもしないようにするのが自分の役目なのだろう。
きっと上手にできないし、またくだらないことで喧嘩をしながら泣かせることもあると思う。
だけど泉の好きという気持ちが毎日無意味に消化されることのないよう、自分が受け皿になればいつか大きな幸福と引き換えの我儘を言ってくれる日がくる。
泉ほど素直な性格になるのは無理だけど、今日の日付が変わるまでは良い恋人でいられたらと思った。


END

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