太陽の光が射し込む部屋。
おとな五人は余裕で寝れるほど大きなベッドの上で過ごす私とヒソカは、こんな気持ちのいい日曜日の朝がこの世でもっとも似合わないペアだと思う。
ヒソカが手にしていた私のマグカップを奪い返すついでに、なにも描かれていない顔に手を滑らせた。


脱ぎ散らかしたベッドのうえで
ないしょ話



「やっぱりメイクしてないヒソカのほうがすきー」
「ボクもメイクしてないナマエのほうが好きだなぁ」

ボクだけが知ってるナマエって感じがする、そうにっこり笑ったヒソカ。
知り合った当初は、ここまで狂った人間がいるのかとただただ驚愕するばかりだった。だからなのか、普通の人間が当たり前にするようなことをヒソカがするだけで、なんだか感動してしまう。食事するんだ……とか、開けたドアは閉めるんだ……とか、まともな会話のキャッチボールできるんだ……とか。私はヒソカを異星人かなにかだと勘違いしてるのではと思うほどに。
そして未だに意外だと思っていることがある。ヒソカは、ものすごく温厚でよく笑う男だということ。

「ね、ボクにもコーヒーちょうだい」
「新しいの作ってこようか?」
「ナマエのでいいよ、飲ませて」

口移しがいいなあ。そう言って唇に指を当て、にんまり顔。

「キスしてほしいって素直に言えば?」

マグカップをサイドテールに置き、ヒソカの上に乗っかるついでに首に腕をまわした。

「だって、素直な男は足りてるだろう?」
「あはは。たしかに」

角度を変え、舌を絡めあううちにヒソカの指先が私好みの箇所を、それはもう器用に責めていく。

「……っ、は」
「ナマエほんとこれ好きだよねぇ」
「あっ……! ヒソカ、」

思わず仰け反ったとき、どこからともなく端末の着信音が鳴った。特定の人物だけに設定している音で、画面を見なくとも相手はわかる。

「おはよ。起きてるよ。……うん、うん、じゃあこれから準備して向かうね」

ヒソカにちょっかいを出されたけれど、それに反応するほどバカじゃない。

「ごめん、私行くね」
「さみしいなぁ」
「ヒソカも彼女見つけなよ」
「えーいらないよ。ボクはイルミの恋人のキミがいいんだ」
「最低の友達ね」
「キミは最低の恋人」
「イルミが知ったら諸共殺しにかかってくるよ」
「それは困るなぁ」

語尾にハートマークが付いた声と、恍惚とした表情をしながらヒソカはひらひらと手を振る。
やっぱり日曜の爽やかな朝は、私たちには似合わないなと思った。



thanks/未明


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