2018/9/22 Sat

猛暑の日々が終わり、秋服の出番が増えはじめた季節の変わり目。
ダイニングでノートパソコンとにらみ合いをする私に、とつぜん突拍子もない話題が振られた。

「クリスマス。行きたいところあるか?」
「え?」

秋といってもまだ半袖の割合のほうが多い。あまりにも先のことだと感じておどろいたけれど、その時期はどこでなにをするにしろ大抵のことは予約必須だし、それすら早めに動かないと埋まってしまう。どこも予約が取れない!彼女が喜ぶ、かつ今から予約取れるようなところを今すぐおしえてくれ!と12月に入ってから泣きついてくる男友達の情けない姿を、これまで何度も見てきた。
聞こえていないと思ったのか、キッチンのほうでグラスを取りだしながらマルコさんはもう一度おなじセリフをを口にした。

「クリスマス、行きたいところあるか?」
「行きたいところかあ……」
「やりたいこととか」
「んー今年のクリスマスって休日なのかな」

ウィンドウを切り替えて12月のカレンダーを確認する。
いいニュースとわるいニュース、どっちから聞きたい?と、わざとらしく日本語吹き替え風の口調で聞いてみせた。

「じゃあ悪いニュース」
「25日は火曜日、平日だね」
「良いニュースは?」
「22土曜日、23日曜日、24祝日で連休!」

ふたりで笑顔になった。
でもこの月はただでさえ忙しい。仕事やプライベート、各方面の忘年会だったり、なにより年内に仕事を納めて快適な冬休みを迎え、そして新年に入れるよう社会人は怒涛の日々を送る。

「時期が時期だから、マルコさん仕事忙しいでしょ」
「そうだねぃ。そこの連休もまるっと休むのは難しいかもなァ」

差し出されたグラスを、ありがとうと受け取るとマルコさんはとなりの椅子をひいた。

「夜に食事、くらいにしておこうよ」
「じゃあ23の夜に食事して、どこか泊まるか」
「うん、そうしよ!」
「リクエストは?」
「んんー……これといってないかな……」
「じゃこっちで全部手配しておくよい」

どこか弾んだ声でそう言い、髪にひとつ唇をおとしてソファのほうに行ってしまった。すぐにタブレットPCを開いている様子を見ると、手配とやらをさっそく進めているのだろう。
それより、クリスマスといえばプレゼント。なにをあげたらいいんだろう。その手配はお願いするわけにもいかない。

「困った……」

いやらしい話だけれど、収入が多いひとへのプレゼントはどうにもこうにも困る。欲しいものは大抵自分で手に入れられだろうし、目が肥えているから下手なものは選べない。マルコさんに関してはきっとなんでも喜んでくれるだろうけど、それでも、喜びがいっそう大きくなるようなものを贈りたい。
とにかく、今のうちからさりげなくリサーチして欲しいものにするか自分好みのものにするか、色々動いて決めていくことにしよう。


to be continued






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