One/イゾウ

恋愛至上主義な私。皮肉なことに失恋にはもう慣れた。ああそうですか、分かりましたよと華麗にスルーして、何事もなかったかのように穏やかな日常に戻るだけ。
そんなとき私の傍に居てくれるのはいつもイゾウだった。
何も言わない、何も聞いてこない。
その優しさに溢れそうになる涙をじっと堪えていると、イゾウは綺麗な着物の袖口から何かを取り出してこちらへ向けた。
「贔屓にしてるところの新作だ」と説明しながら私の唇に、丁寧に丁寧に紅をひき、手を離し満足気に眺め終えると彼らしいあでやかな微笑みを浮かべる。

「笑えよ。お前は笑ってるほうが良い」

こうして今日も助けられる。
私が性懲りも無く愛を諦めずにいるのは、イゾウの所為だ。いや、イゾウのおかげと言わなければ今度は銃口を向けられてしまう。

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最近気になるイゾウ氏。
中性的ないけめん、好きです。

2015/05/29 19:34
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