nar/カカシ


何もかもを失い、地獄でもない場所で地獄をみた彼。
傷は深すぎて私にその痛みを計り知る事は到底出来ない。
痛みは分け合えばいい、なんてどこかで聞いたことのある言葉だけど、そんなのは綺麗事だと思う。私はカカシじゃないんだから分かるわけがない。そもそも、簡単に分かろうなんて思うこと事態がとても浅はかな考え。

その代わり誓ったんだ。
哀しみは分け合えないけれど。私は他の誰を傷つけようともこの人だけは絶対に傷つけない。これ以上彼は、哀しみと孤独の地獄に突き落とされるような事があってはならない。


「カカシは私より先に死んでね」
「お前・・・なに縁起悪いこと言うの・・・」
「一生のお願い」
「・・・。よく分かんないけど、分かったよ」

その2日後、任務で里を出た私は約1週間振りに我が家へと帰ってきた。
ただいま、疲れたー。
おかえり、お疲れ様。
クタクタの身体でそんなやり取りをしてリビングの扉を開けると、1週間の間にこの部屋はゴミ捨て場になったんですか?ってくらい洗濯物やら書類やらインスタント食品の残骸が散らばっていて。


「なっにこれ・・・!人が疲れて帰ってくるんだから片付けくらいしておいてよ!もーさらに疲れる!!早く片付けて!」
「あはは、ゴメンネ。昼間片付けようと思っ「いいから早く」

ビクッと身体を竦めていそいそと片付けを始めながら、いやーそれがさぁナルトがいきなり俺の所に来て、と引きつった笑顔で言い訳を並べるカカシ。
うん、やっぱり私はカカシを置いて死ねない。改めてそう思った。


fin 
暗い話かと思いきや。
2009.01.05up

2015/05/06 23:26
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