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One/イゾウ

恋愛至上主義な私。皮肉なことに失恋にはもう慣れた。ああそうですか、分かりましたよと華麗にスルーして、何事もなかったかのように穏やかな日常に戻るだけ。
そんなとき私の傍に居てくれるのはいつもイゾウだった。
何も言わない、何も聞いてこない。
その優しさに溢れそうになる涙をじっと堪えていると、イゾウは綺麗な着物の袖口から何かを取り出してこちらへ向けた。
「贔屓にしてるところの新作だ」と説明しながら私の唇に、丁寧に丁寧に紅をひき、手を離し満足気に眺め終えると彼らしいあでやかな微笑みを浮かべる。

「笑えよ。お前は笑ってるほうが良い」

こうして今日も助けられる。
私が性懲りも無く愛を諦めずにいるのは、イゾウの所為だ。いや、イゾウのおかげと言わなければ今度は銃口を向けられてしまう。

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最近気になるイゾウ氏。
中性的ないけめん、好きです。

2015/05/29 19:34
one/サッチ

これを選んだなんてどうかしてる。
我ながらそう思わずにはいられないくらい、目の前の男は私の持つ理想の男性像とは掛け離れていた。
髪型は笑えるくらい変だし性格は騒がしくてバカだし女癖とか最悪だし何より顔が良くない。

「なんでサッチみたいなのと付き合ってんだろ。私」
「・・・待て。今なんつった?」
「ごめん失言しちゃった」
「いやいやいや謝ってる意味ねーからそれ」
「だってサッチだよ!?世界には素敵な男がたくさんいるのにサッチだよ!?」
「おま、おれ泣くぞ?いーの?」

まぁいいか。恋人が絶世の美男子とか、私が引き立たないし。

「出てる出てる声に出てる」
「サッチだったら私の可愛さがいっそう引き立つってもんよ!」
「あー・・・そうね・・・、はは・・・」

fin
THE★プラス思考

2015/05/06 23:45
one/シャンクス


船の手摺に座るナマエを発見。
いつものように煙草を口にして海に向けて組んだ脚が揺れていることから、鼻歌でも歌ってるんだろう。どうやらゴキゲンだ。
今のうち、夜のために更なるゴキゲンを取っておくべきだ!と踏んだおれはその姿に歩み寄った。


「なーにして・・・あっ、おいバカ!」
「っ、ぎゃああああ!!」

突然触れたことに驚いたのか、バランスを崩したナマエは決して女らしいとは言えない悲鳴を漏らしながら・・・海へ落ちて行った。

なんっっってやべェことしちまったんだおれ!!!
恐くて下覗けねェ!!
と思った瞬間、地平線まで届きそうなボリュームで数々の罵声がぶち上がってくる。
ちょっ、いやマジで今回は完璧おれが悪い。
心から謝るから、頼む。
クソジジイだけは止めてくれ・・・!


(今夜はおまえの後頭部を見ながら寝ることに決定。いや、これじゃ部屋にも入れてもらえねェな。今夜の見張り番、喜べ。おれが代わってやる)


fin
2010.03.20up

2015/05/06 23:37
nar/カカシ


何もかもを失い、地獄でもない場所で地獄をみた彼。
傷は深すぎて私にその痛みを計り知る事は到底出来ない。
痛みは分け合えばいい、なんてどこかで聞いたことのある言葉だけど、そんなのは綺麗事だと思う。私はカカシじゃないんだから分かるわけがない。そもそも、簡単に分かろうなんて思うこと事態がとても浅はかな考え。

その代わり誓ったんだ。
哀しみは分け合えないけれど。私は他の誰を傷つけようともこの人だけは絶対に傷つけない。これ以上彼は、哀しみと孤独の地獄に突き落とされるような事があってはならない。


「カカシは私より先に死んでね」
「お前・・・なに縁起悪いこと言うの・・・」
「一生のお願い」
「・・・。よく分かんないけど、分かったよ」

その2日後、任務で里を出た私は約1週間振りに我が家へと帰ってきた。
ただいま、疲れたー。
おかえり、お疲れ様。
クタクタの身体でそんなやり取りをしてリビングの扉を開けると、1週間の間にこの部屋はゴミ捨て場になったんですか?ってくらい洗濯物やら書類やらインスタント食品の残骸が散らばっていて。


「なっにこれ・・・!人が疲れて帰ってくるんだから片付けくらいしておいてよ!もーさらに疲れる!!早く片付けて!」
「あはは、ゴメンネ。昼間片付けようと思っ「いいから早く」

ビクッと身体を竦めていそいそと片付けを始めながら、いやーそれがさぁナルトがいきなり俺の所に来て、と引きつった笑顔で言い訳を並べるカカシ。
うん、やっぱり私はカカシを置いて死ねない。改めてそう思った。


fin 
暗い話かと思いきや。
2009.01.05up

2015/05/06 23:26
nar/カカシ


※危うくイルカ先生vsペインになりかけたあのシーン直前のカカシという設定で。



皆、いなくなった。
皆、死んでしまった。
四代目を名乗った、私にとって誇り高き師。その師だった豪快なあの御方。妻と子を残し自らの意志を弟子に託した同僚。その父はこの里の者すべての父親でもあった。友人のあいつも己の瞳を親友に贈り、若くしながら散っていった。
至る方角から聞こえてきた爆音に隣のカカシが立ち上がるなり、こうして今は亡き彼らが不意に頭を過った。何故こんなときに。こんなときだからこそ、か。


「カカシ」
「ついに来たみたいだね」

あの自来也様が敵わなかった相手だけれど「死なないで」なんて言いたくない。
「行かないで」なんてもっと言いたくない。
でも出てきそうになる言葉はそれらと似たようなものばかり。


「そんなに不安な顔しないでちょーだいよ」

いつもの変わらない声色と穏やかな表情。
その裏側に纏う殺気は、覚悟の証。


「・・・カカシ」
「ん?」
「聞かせて。その覚悟は、なに?」

私の問いに視線を落としながら額当てを押しあげ、左目を露にしたその表情はいつになく真剣なものへと変貌した。


「死なない覚悟だ」


「いつでも死ぬ覚悟はできている」どこかでよく耳にする言葉だけれど、そんなものを戦場に持ち込んでもなんの役にも立たない。
必要なのは、生きる覚悟。生き残る覚悟。
私を一瞬だけ抱き寄せて消え去った、僅かに残った感触を胸に閉じ込めながら同じ覚悟を決めて前線へと向かう。
増してきた爆音と黒煙が充満しつつあるこの里に、彼に、私に、どうか明るい未来を。


fin
2008.10.11up

2015/05/06 22:16
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