出会いはそう、押し入れから


『いやいや!ぜぇったい部屋からはでないからっ!』
なまえは布団を丸かぶり部屋のドアに向かいいい放つ。
部屋の外からはなまえを心配する母の声。
「お願い、出てきて」
『やーっだ!絶対でない!』
引きこもりとなってしまった今、なまえは世界に存在する理由が見いだせなくなっていた。
この世界から隠れたい。
そんなことを思い、そしてそういう思考になってしまった原因を思い出し、なまえの目に涙がじんわりと浮かんだ。

するとそのとき今まで聞いたことのない音がなまえの部屋の押し入れから聞こえた。まるで電車が駅のホームに入るような。
そしてガラリと押し入れの戸が荒々しく開いた。
そこからでてきたのはなまえの知らない男の人だった。

「もーっ、花さんが乱暴するから…」
眼鏡をかけた男の人、…男の子?
独り言を言っていて、なまえに気付いたらしく、顔をあげる。
なまえを見つめた瞳は蒼く蒼くとてもきれいだった。
「やっ、やあ。はじめまして」
にっこり微笑んだ表情は引きこもりのなまえからしてみればとてもとても眩しかった。

 

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