桂と別れてから数日が過ぎる。
銀時は一人、感情を抑えられない自分と葛藤していた。ずっとあまえて、桂に迷惑をかけていた。だから桂を辛くさせてしまった。そう思い、できるだけ一人で対処できるように戦っていた。
前神楽が使っていた押入れの戸は銀時が暴れ穴が開き、桂が修復途中であった。
いつも微笑んで「大丈夫だ、俺に任せろ」なんて言ってくれた桂。
そんな桂がずっといとしかった。愛していた。
まあ、結果それで桂を傷つけたのに変わりはないが。
「アイツがいねェと眠れねーんだよ…」
薬を使っても、桂がいたころよりも寝つけが悪く、目元には薄らと隈が出来ていた。
すると玄関の方で戸が控えめに開く音がした。
――…ヅラ…!!
そう思い、立ち上がる。思いきって廊下に出てみるとそこに立っていたのは新八だった。
「あ、銀さん。おはようございます」
つらそうにほほ笑む新八。万事屋からでさせる前、一度感情を抑えきれなく、新八を殴ってしまったことがあった。多分それが原因でまだ、少し新八に無理をさせているのであろう。
無理にいつものように振舞おうとする。
「よォ、どした…」
壁に寄りかかり、腕を組む。銀時は少し、冷たげに言葉を発する。
「あ、…いや、ちょっと忘れ物を…」
焦っているのが分かる。無理しているのが分かる。
(俺が怖いのか…)
「失礼します」といつもは言わないのに、小さく断りを入れてそそくさと入っていく。
銀時はそのままソファに戻る。横になり、床に置いてあるジャンプに目をやる。
そう言えば、いつもヅラに買わせてたな…。
付き合って最初の方は間違って赤マルを買ってきてたりしたが、きちんと週刊を買って来てくれるようになっていた。
カーテンを昼間から閉めていて、暗い。陽の光を浴びるのがなぜだか鬱陶しいと感じてしまっていた。
忘れ物を取ったのか、新八は銀時のいる部屋に来た。
「銀さん…」
そう一つ呼ぶと、向かいのソファにゆっくり腰を下ろした。その行動に銀時は少し驚いき、体を起こす。
「ぱっつあん…、どした」
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