「さみィ…」
冬近づく寒空の中、銀時はひとり万事屋の扉を開けた。
戸の音に気づき、神楽と新八が出迎えてくれる。と銀時は思ったが、なかなか二人は出てこない。
「(…あれ)」
そういえばいつもよりも静かな万事屋に銀時は気づいた。二人とも出かけているのか。そう思うと急に寒さが身に染みてきた。
二人がいないと言う事は、ヒーターはついていないと言う事。急ぎ足で廊下を歩き、ヒーターに電源を入れる。
「ひーひー…。さみィぞ…」

銀時はソファに横になり床に置いていたジャンプを読む。だが、途中でうとうとと眠り始めてしまった。
しばらくたったであろうか、万事屋の扉がガラガラと開く音がし銀時が目を覚ます。
「神楽かー?」
返事がない。
「新八かー?」
返事がない。
「まさか」と思い、起き上がり服のしわを直しながら玄関へ向かう。

だが、突然の訪問者に銀時はガックリと肩を落とす。
「なんだ、ヅラか…」
「なんだとはなんだ。ヅラじゃない…」
銀時はぼさぼさの髪をポリポリとかき戻っていく。
「桂だ!!」
「どんだけ貯めてんだよ!お前またジジイに戻ったのか?!だから遅いのか?!」
ハアとため息を吐く。
「いやいや、すまない。言うタイミングがずれてしまって…」
桂が苦笑する。
「いやいや!タイミング逃す意味がわかンねーけどな!!」
銀時がイライラしながら突っ込みを入れた。
「そんなことより銀時」
いきなり神妙な表情をした桂。
「なんだよ」
銀時の表情も真剣になる。
桂が口を開いた。

「客人を立ち話させるのも、なんだと思うのだが…」
とても寒くてならん…
と手をこすりながら話を続ける桂。

二人の間に沈黙が流れる。
「だったら上がれや!!」

桂の性格はよくわからない。
けれど銀時はそんな桂が昔から気になってならない。

銀時がすたすたと桂のもとへ寄る。
そして桂の手を優しくにぎり、自分のもとへ引く。
桂の体はふわりと銀時に寄り掛かる。

「俺が温めてやろーか?」
桂の耳元でクスりと笑う。
いきなりのことで桂の体はびくりと固まる。
そんな桂の頭を銀時はゆっくりと撫で、「じょーだん」と告げた。
すると桂は赤らんだ顔を俯かせ、

「銀時となら…」
と小声で呟いた。

銀時は不意を突かれたような表情をし、小さく微笑んだ。


「やっぱ、分かんねェな…」
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