「おい、銀時。除夜の鐘の音が聴こえるぞ」
「あァ…」

「おい、銀時。桜がきれいに咲いていたぞ」
「あァ…」

「おい、銀時。花火がきれいだぞ」
「あァ…」

「おい、銀時。今日は十五夜だ。月がきれいに見えるぞ」
「あァ…」

「おい、銀時、初雪が降っているぞ」
「あっ、…そう」

銀時はいつも無愛想にに返事をする。何を言っても興味がないようだった。

季節の移り変わりにはまるで興味がないように。

桂は少し銀時のそのような性格に不満を持ち、ある雪がしんしんと積もり行く真夜中、たずねた。

「銀時は、季節の移り変わりには興味はないのか…?」

銀時の方は見ず、暗い前を見る。

「興味がねー訳じゃねェけど」
ちらりと銀時を見ると赤いマフラーを直しながら言っていた。

桂は一応真面目な話をしているけれど銀時の不真面目さに苛立った。

「まァ、」

「…?」


「俺はてめェだけ見ていられればそれでいい」

不意に言われた一言。もう桂は銀時を見れなくなった。
マフラーで真っ赤になった顔を少しでも隠す桂。

隣の銀時はくすりと笑う。

そして桂の視界が暗くなる。
一瞬何があったか分からなかったが、唇にじわじわひろがる温かさから銀時にキスされている事に気付いた。

「ちょ…ぎ…っ」

恥ずかしさから銀時と距離をとろうとした。
銀時の肩を押すが、離れない。

銀時の唇が離れたと思うと、こそりと呟いた。

「…嬉しいくせに」



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