「ヅラァ」

いつもの銀時とちがう雰囲気。何故かは分かっていた。
自分自身が悪いのだと分かっていた。

桂は銀時に僅かながらも"やきもち"を抱いていた。
桂という"恋人"がありながらも、銀時のまわりには女子の影が多すぎる。仕事だと分かってはいるのだが、それでも桂は胸の奥を痛めた。

だから銀時を突き放してみようと。
恋には押しと引きが肝心と聞いたことがある桂。

桂の企みを知らない銀時を一週間ぐらい突き放してみた。
するとやはり、銀時は訳も分からず恋人から突き放されたもので苛ついていた。

そしてさっき、町でバッタリ会った桂の腕を思いっきり握り、誰もいない万事屋に連れ込んだ。

「てめェ、…何避けてンだ?」

押し倒され、したの桂に冷たい視線をぶつける。…誰だって恋人に避けられればこうなるであろう。

その問いかけに答えず、銀時をじっと見つめる桂。

桂は少しこの状況を楽しんでいた。顔には出さないが、内心嬉しくなっていた。

桂に抱きつく銀時。口を桂の耳元まで持っていくとこそりと呟く。「俺のこと好きって云わねぇとはなさねーぞ」

――構わない

ずっとこのままでも桂はいい。と思った。
なので返事を言わない。「好き」と言ってもはなさないのは分かっているけれど、まだ、この銀時の温かさを感じていたいから。

桂は「好き」という返事の代わりに銀時の背中にゆっくり腕をまわす。

銀時は少し驚いたような顔をしたが、二人は互いを求め合うかのように、強く抱き締めあったのだ。

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