カエルレウム

 定時ぴったりに教皇宮での執務を無事に終えたミロは、それこそ光速の無駄遣いで双魚宮へと駆けていた。
理由は簡単。今晩の夕食をアフロディーテととる為だ。そしてそれが終わったら二人でゆっくり過ごして、明日の非番はどうしようか話合おう…と、午前中から考えていた。アフロディーテと休日を一緒に過ごす…それを楽しみに今日は苦手な書類仕事を見事締め切りを破らず提出させるほど、ミロは頑張ったのだ。
 石階段の薔薇がミロが駆けた時に起きた風に花が揺れる。日が暮れた双魚宮ではポツリポツリと蝋台に明かりが灯っていた。
…そう言えば何故、双魚宮は青白い炎が灯るのだろう。鬼火…積尸気に通じるデスマスクの仕業なのかと考えるが、そう言えば友であるカミュが守護する宝瓶宮に灯る炎も青かったと思い出す。
 なのにシュラの磨羯宮やアイオロスの人馬宮の炎は赤い。ちなみに自宮も赤い。これに真紅の衝撃…引いてはアンタレスは何も関係ない。
「聞けば分かることだな。」
 双魚宮の裏であれこれ考えているより今はさっさと居住スペースに行くべきだと結論付ける。ミロは再び歩きだした。


「そう言えば…どうしてだろうね。」
 意気揚々と尋ねたものの守護者たる魚座の彼も分からないと言う。
「デスマスクの仕業とかは?」
「確かに彼はしょっちゅう出入りしているが、あれは関係無いだろうね。」
 アフロディーテ曰く、デスマスクが居ようが居まいが彼が双魚宮を守護するようになってからずっと炎は青白いという。
「カミュのところも青いし…七不思議的な何か、とか?」
「さてどうだろうね。一概に否定はしないけど。」
 そう言ってミロを見ながら、眉を下げてアフロディーテは困った様に笑った。
 神話の時代から存在する聖域だ。一つや二つ人知では知り得ない何かがあっても不思議ではない。
「…気になる。」
「ミロは相変わらず気になったことがあると一直線だね。」
 ご飯冷めるよ?とアフロディーテに促されて、ミロは漸く夕食が並ぶテーブルの席につくのだった。

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星矢戦記ねたでした。
戦記2出ないかなぁ…。

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