ひよこ豆のスープの予定

 盛大なくしゃみの音にアイオリアは思わず手にしていたマグカップを落としそうになった。
 くしゃみをしたのは獅子宮内のキッチンに立つアフロディーテだ。ぶるりと身体を震わせて、鼻を啜る音もした。
「風邪でも引いたか?」
 マグカップをテーブルに置いてアイオリアはアフロディーテの後ろに立つ。何でもないよというアフロディーテを背後からぎゅっと抱き締める。
「危ないよアイオリア。」
 夕食作っている最中なのだから…とアフロディーテは包丁をまな板の横に置いて、直ぐ横にあるアイオリアへ振り向きながら言う。
 横目からだが、心なしか顔が赤い気がする。北欧の人に良くみられる白磁の様に白くて綺麗な肌故に、アフロディーテの顔色が違うと直ぐに分かるのだ。
 アフロディーテの額にアイオリアの大きな手のひらが充てられる。
「少し熱っぽい様だな…。」
「アーイオーリアー?」
「夕飯は俺が作る。アフロディーテは向こうで休んでてくれ。」
 エプロンを剥がされて先程アイオリアが寛いでいた椅子に座らされる。アフロディーテが持ち込んだマグカップにティーバックとお湯を淹れてテーブルに置いておく。ブランケットを取り出して水色の頭の上からすっぽりと被せて、アイオリアはこれでよしと満足そうに笑った。
「では夕飯を作るとしよう。」
「本当に大丈夫かい?」
「大丈夫だ。だからアフロディーテは暖かくして待っていて。」
 アフロディーテにはアイオリアが途中でええい面倒!となりそうなのが目に見えている。心配そうにアフロディーテが見詰める中、勇猛果敢な獅子は大丈夫と再度彼に頷いてキッチンという戦場に向かっていくのだった。



拙宅の獅子は料理出来ないことはないんですがレシピ通りにやるのは厳しい。計量とかええい面倒!で男の料理になる←

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