ウイスタリア

 今朝の聖域は青天白日。雲一つないまっさらで真っ青な空。穏やかな日だが、あの夏の暑さが懐かしく思えるほど、肌寒い日でもあった。
「またえらく冷え込んだな。」
 夏と同じ格好で寝てしまったものだから、余計に今朝の風が身に染みる。開けっぱなしだった窓からはこれまた冷たい朝風。思わずYシャツの前を閉めてしまった。
「おい、起きろアフロディーテ。」
 昨夜を共にした愛しい魚は、未だに布団に潜ったままだ。
「昨日は激しかったもんな〜??腰が立たないなら、教皇宮までお姫様抱っこして…ぐはっ!!?」
 寒いから布団から出てこないのかと思っていたが、起きていたらしい。ベッドと布団の間から素早い鉄拳が飛んできて、デスマスクの腹部に見事クリーンヒットした。
「てめえ…朝から何良いもんくれちゃってんのよ…。」
「自業自得と思え。」
 漸く布団から起きてきたアフロディーテの顔は不機嫌そのもの。八十八ある星座の中でも一番の美貌を誇る魚座の彼がこれでは台無しである。しかしこのことを言えば更にアフロディーテの機嫌を損ねることになるし、何より腹部に受けた攻撃が痛すぎてそれどころでは無かった。
「……くっ…。」
 小さな呻き声の後、アフロディーテはよろめき壁に手をついた。やはり腰に来ているらしい。黄金聖闘士とて人の子である。あれだけ攻めれば、腰の一つや二つ悪くしても仕方無い。
「無理するなよ。」
「…誰のせいだ、誰の。」
 アクアブルーの目が恨めしそうに見詰めてくる。
「…そんな目すんなよ。」
 我慢出来なくなる……デスマスクの手がアフロディーテの顎を捉える。
「ロイヤルデモンロー……。」
 急速に高まるアフロディーテの小宇宙に、デスマスクは慌てて手を離す。こんなところで自宮を失いたくはない。それにまた痴話喧嘩だなんだだと隣近所から、からかわれるのも面倒だ。
「分かった分かった!変なことしねぇよ、ちゃんと支度手伝ってやるから。」
 ジト目で睨まれながらも、アフロディーテはデスマスクに身を委ねてくれた。
 こうなったのは自分の責任でもあるのだからと、デスマスクはアフロディーテを抱き抱えるとバスルームへと消えていった。



我が家のアフロちゃんはお姫様抱っこされるとキレます←
最後のシーンはこれから執務があって時間も押していて致し方ないので、アフロちゃん的にかなり妥協してお姫様抱っこされてます。

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