ミスティパープル

 まっさらなベッドに散らかる水色の髪。シーツを抱き枕に丸くなって眠る魚座の愛しい子。聖闘士としての役割と、魔宮薔薇の管理作業と、今宵…このシオンの誕生日パーティーと。全てをこなして全部が終わった頃にはアフロディーテは勿論、他の黄金の子らも疲れと酔いで眠ってしまっていた。聖闘士の最上位足る黄金聖闘士が皆酔っ払って眠って仕舞うのは如何なものかと思うが、たまになら良いか……と思ったが、つい数日前のムウの誕生日も皆酔い潰れていたような……?
「……シオン様…?」
「起こしたか?」
「いえ…それよりもまた、あなた様にご迷惑を…。」
「良い、気にするな。」
 シオンは起き上がってきたアフロディーテの横に座り頭を撫でてやる。アフロディーテはまだ酔いと夢の中にいるらしく、海の様な瞳は噛み殺したあくびで涙が溜まりとろんとしていて、重そうな瞼は今にも落ちそうだ。
「シオン様は大丈夫なのですか…?」
「ふ、あれくらい飲んだうちに入らぬ。」
 酒豪揃いの黄金達だがやはり年の功か、童虎とシオンが一番酒に強い。自制しない限り酒の席でこの二人に叶う黄金聖闘士は残念ながらいない。
「ほれ、意地を張らずにさっさと眠るが良い。」
「ですが…。」
「私ももう休む故。」
 そう言いながらシオンは肩にもたれ掛かるアフロディーテを再びベッドに寝かせてやる。染み付いた薔薇の香気が今日はまたやけに甘い。だが青薔薇を紅く染め上げるのは、また次の夜が来てからだ。
「お休み…魚座の子よ。」
「…シオン様も…おやすみなさいませ…。」
 あっという間、眠りを司る神が誘ったのかというくらいに、アフロディーテは眠りに落ちる。すうすう…と寝息を立てて眠るアフロディーテに、シオンは愛しい子へ慈父の如く口付けを施す。

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シオン様誕生日おめでとうございますー!

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