マダの酩酊

 皆が酔い潰れた双魚宮もとい誕生日会場だったリビングから離れて、アフロディーテはアルデバランと共に彼の守護宮である金牛宮まで降りてきた。リビングに通され、大きなソファに座っていると目の前にはオレンジの薔薇。小振りに見えたがアルデバランが持っていたからで、受け取った花束は中々見応えがある。
「改めて誕生日おめでとう。」
「有難う。」
 誕生日プレゼントに牡牛座から貰った花束を手にアフロディーテは何処かご機嫌だ。好いた相手からのプレゼントを気に入らない訳がない。
「本当はもっと別なものをと思ったんだがな…。」
「ううん。凄く嬉しいよ。」
 照れ屋な彼なりに、花に思いを託して更に花言葉と本数の意味を考えてこれをプレゼントしてくれた様だ。花達の声を聞きたいが、今はそれよりももっと欲しいものが出来てしまった。
「ね、アルデバラン。」
「うん?」
「…シよっか?」
 どうせ誰も来ないんだし、と悪戯っぽく笑えばアルデバランの顔はみるみる内に赤くなっていく。
「えぇとなアフロディーテ。ここは金牛宮で、一つ前のムウは双魚宮で酔い潰れててだな…。」
「私とシたくないのか?」
「い、いや…そうじゃなくて…。もし敵襲があったら大変なことにだな…。」
「えぇい! 面倒!」
 何アイオリアみたいなことを…と狼狽えるアルデバランの口をアフロディーテが塞いだ。積極的に絡みついてくるアフロディーテの舌は何かの蜜の様に甘い。まさか…と思った刹那、アルデバランの身体は熱を持ち始めた。
「アフロディーテ何を…。」
「君が私を気遣ってくれていることは嬉しい。だが、それで君が自分を押し殺しているのなら話は違う。」
「だが…。」
「そう簡単に私は壊れん。好きに抱いてみたまえ。私も気持ち良いし、君も気持ち良いならば双方Win-Winだ、そうだろう!?」
 忘れていたが魚座も大分杯を重ねていたと今更思い出す。酔っ払いほど質の悪いものはない。…なんか前もこんな感じで流された気がするが、自分も飲んでいるし、盛られた媚薬とその他もろもろで沸いてきた頭で思い出すのは中々に困難だ。
「…後悔しないか?」
「ああ。」
「止めろと言っても止めてやれないぞ?」
「くどい。良いから全力できたまえ。」
 嗚呼なんて嬉しそうな表情をするのか。しかし愛らしい魚座が此処まで言ってくれたのだ。その心根にこちらも全力で返さねば失礼というもの。
 武人の思考が間違った方向に進み始めたところで、覚悟を決めたアルデバランはアフロディーテを抱き抱えると寝室に消えていった。その晩金牛宮では滅茶苦茶小宇宙が昂っていたという。

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2017年アフロたん!

まともに見えて二人とも酔っ払ってました←
牛魚は何故か酒絡ませて酔っ払った能天気な話を書きたくなる。不思議。

オレンジの薔薇の花言葉は魅惑。

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