フローラルホワイト 先日、日本土産に愛弟子から貰ったのは入浴剤セットだ。適正分量を計った後、湯船にいれずカミュは自分の手のひらに入浴剤を乗せた。ぐっと入浴剤を握り締めお湯の中に手を入れる。もわもわ…と煙りが煙る様に指の隙間から入浴剤が漏れていく。透明だった湯が徐々に白く染まり始めた頃、身体と髪を洗い終えたアフロディーテが同じ浴槽にその身を沈めた。 「熱くないか。」 「うん、丁度良いよ。」 熱い湯が苦手という共通認識を持つ二人は、小さな時からとても気が合った。同じ感覚を持っているというのは、それだけで気を使わないで良いということにもなる。現に入浴剤で遊ぶカミュをアフロディーテが咎めることはないし、逆にアフロディーテが小宇宙で作った薔薇を浮かべてもカミュはその光景を興味深げに見ているだけだ。アフロディーテが作った薔薇を氷の中に閉じ込めて、お湯の中に入れて溶けていく姿を二人で見ていたそんな時もあった。 「手、白くならないかい。」 「なる。」 ぱっと手を広げると、入浴剤が一気に溶け出した。軽く揺らせば乾いていた中の部分までお湯に濡れて湯船を白く染めていく。手のひらも勿論真っ白だ。 「上がったらどうしようか。」 入浴剤で白く染まったカミュの手をアフロディーテが擦りながら問う。夕飯も食べたし、今日は特にアルコールを取りたい気分でもない。 「…貴方が欲しい。そう、言ったら?」 逆にアフロディーテの手を取ってカミュは指先に軽く口づける。最近切ったのだろうか、人指し指に出来た真新しい切り傷に舌を這わせるとピクン…と身体を震わせた。 「カミュ…。」 「上がろう。このままでは私も貴方もきっと逆上せる。」 風呂のせいではなく、赤くなってきたアフロディーテを誘いカミュは浴室を後にする。真っ白な湯船には一輪だけ真っ赤な薔薇が浮いていた。 ―――――――――――― 水瓶魚お題 ・一緒にお風呂 ちっちゃい頃もこうして一緒にお風呂入って戯れてたら可愛い← |