新たに書き初める 聖域にて我等が女神アテナの元、年始を祝う祭事が行われた。新たな祭壇星座の白銀聖闘士が決まらない中、13年間サガを偽の教皇として知りながら双子座を支えて来た所謂年中組の三人が進行を務めていた。 聖戦より甦った後、シオンが再任と言う形で教皇の席に就いている。しかし彼自身がこの世を去った時以降、祭事の内容が違っていたのだ。大まかなところは変わらないが、それでも内容や仕様には変化があり、それが今日にまで伝わってきている。 シオンもまた頭の堅いことは言わず、その時々にあってきちんとしていればそれで良い…と理解を示してくれたのだ。 そんなこんなで年末から年始まで色々とあったが、今年もなんとか無事に終わったので良かった。 魚座専用に誂え、代々受け継いできた祭事用の装飾品と衣装を元の箱に戻す。クローゼットの奥に仕舞い直して、アフロディーテはリビングに戻る。ソファに座って勝手に寛ぐ山羊座と、何やらキッチンで勝手にガサゴソしている蟹座がいた。新しく年が開けても、腐れ縁の幼馴染みは何時も通り変わらない。 「…どうした?」 どうやら口元が綻んで仕舞っていたらしい。深緑の三白眼が不思議そうにこちらを見ている。 「いや、何でもないよ。」 「そうか。」 「おいアフロディーテ! パスタとかどこに片したぁ!?」 「左の戸棚の右側。」 「急に変えんなよ、分からなくなるだろうが。」 「私のキッチンをどうしようが私の勝手だろう?」 「一理ある。という訳だデスマスクさっさと作れ。」 「うむ、光速で頼むぞ。」 「だったら手伝えよ。」 「「やだ。」」 デスマスクがキレて怒る前に、シュラとアフロディーテは光速の無駄遣いでキッチンに並び立つ。 「はあ…お前ら本っ当素直じゃねえな。」 「うむ、意地っ張りで困るぞ君ら。」 「そういうお前もだぞアフロディーテ。」 意地っ張りでも何でも良い。今年も大切な幼馴染みと仲間と敬愛する人達と過ごせるこの時間の幸福を人知れず彼等は噛み締める。 ―――――――――――― 今年もよしなに。 |