ボルドー

 ふと、目を覚ます。隣で眠っていた筈のデスマスクの姿は無かった。手をずらして彼がいた場所に触れてみると、起きていってから暫く時間が経っている様だ。何処と無くひんやりと冷たいベッドに手を着いて、アフロディーテはゆっくりと起き上がった。
「…悪ぃ、起こしちまったな。」
 ベッドから脚を下ろした瞬間、寝室に戻ってきたのはデスマスクその人だった。
「何かあったのかい?」
「いや、ただ単に目ぇ覚めただけだ。」
 妙に冴えてしまったらしく、再び眠気が来るまで一人で残りのワインを傾けていたらしい。
「私にもくれないか?」
「あぁ、ほらよ。」
 そう言って差し出したワイングラスを受け取ると、アフロディーテは残っていたそれを一気に飲み干した。芳醇な香りとアルコールが喉を焼いていく感覚に息をつく。
「んぅ…。」
 光速の無駄遣いであっという間に唇を奪われた。吐息ごと舌を吸われ、アフロディーテからはくぐもった声がデスマスクの耳を楽しませる。ワインに酔い、更にはデスマスクとの口付けに酔う。次第にぬるぬるになった唾液が糸となり二人の間を繋ぐ。
「こら。」
「なんだよ、好きだろ?」
「う…。否定はしない…けど、…明日はアテナが聖域に来られるのだぞ? 他にも祭事の準備や、やらなくてはならないことがたくさん…。」
「分かってるって。足腰砕かねぇ様に抱いてやっから。」
「だからっ!」
 抗議しようと開いた口に、またデスマスクの舌が入りこむ。さっきよりも丹念に丁寧にアフロディーテの咥内を愛撫していく。息継ぎの合間にチラリ…とアフロディーテの下腹部を見やればそこは緩く主張し始めていた。
「ふぁ…デスマスク…。」
 縋る様に寝巻きを握ってくるアフロディーテの手に自分の手を重ねる。
「へへ、そうこなくっちゃな。」
 指先に軽く口付け、二人はまたシーツの海へと沈んでいく。

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2016年ラスト。やっぱりここは蟹魚で!(笑)


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